【馬シャーク】 第二回現代語俳句の会まとめ予告
気力が戻ってきたので第二回現代語俳句の会のまとめに取り掛かるよ。
まとめといっても少し変わっていて、投稿された作品からインスパイアされた世界をわたしが作品として作り上げていくの。
少し時間をいただくけれど絶対に楽しいと思う。
今ひと作品描き終えて二作品目に取り掛かったところ。その一部を公開して気分を盛り上げていきたい。
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馬シャーク
2021 Yushima, Kumamoto, Japan
「マドモアゼル、もうすぐ到着いたします。」
「ありがとうジェイコブ。長い道のりだったわ。そして今やっとそれが叶う。」
「マドモアゼル、でも実験はもうだいぶ前に成功していましたし、なぜプレス向けの発表の今日に?」
「ジェイコブ。刺激に満たされなくなってもうどれくらい経つでしょう?」
「と申しますと?」
「最後に夜も眠れなくなるほど興奮したのはいつかしら?」
「んん、なかなか思い出せませんな。」
「わたしはよく覚えてる。あれはローマでの出来事だったわ。初夏の透き通るような日差しの午後だった。」
「ええ。」
「とても喉が渇いていたの。そこでひとつのジェラートを売るお店を見つけた。ロータリー状になったどこかの大きな建物の近くにある小さなジェラテリア。たまらずわたしは駆け込んでそこでコーヒーの味のものとココナッツのジェラートをコーンに乗せてもらった。忘れ難い体験だった。その時のわたしはロンドンこそが世界の中心で特別な場所だって疑うこともなかった。でもそこで食べたジェラートはロンドンのどこに行っても出会えないような、世界の標準時刻の真ん中ですら出会えないような、特別な味だった。」
「はい。」
「もちろんわたしの母の故郷のブルゴーニュにだってないものだった。世界は特別なもので溢れていると知ったの。それがわたしの最大の刺激だった。わたしの人生の全てを震わせるような出来事。たったひとつのことよ、世界は知らないことだらけだってことを知ったの。」
「マドモアゼル、楽しそうに話すそのお顔を見れるだけでこのジェイコブは…なんとも…」
「ありがとう、ジェイコブ。バロン・ジェイコブ。あなたがわたしを支えてくれたからこうしてこの日を迎えられた。そして今日が世界をもう一度震わせる日!この湯島でわたしはオーディエンスに混じってこの日を迎えるの!」
【続く】
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予告編は800文字以内で区切りました。全19作品になると思うから時間かかるけどみなさま期待して待っててね!
本日も【スナック・クリオネ】にお越しいただいき、ありがとうございます。 席料、乾き物、氷、水道水、全て有料でございます(うふふッ) またのご来店、お待ちしております。