雨音琥珀



お昼を過ぎた時刻を時計の針が指している。

朝方に寝たのだから、妥当だろう。


雨の音が聞こえた。

地面を打つ雨音は好きなんだ。


カーテンを開ける。

灰色を覆い被せたような景色。


陽の光を隠した空から落ちる雨は、強い。

これでは、外に出るのも億劫だ。


部屋のなかを漁る。

先日買っていた、洋酒があるはずだ。


氷の入ったグラスを持ち、窓辺に座る。

注がれた洋酒の温度で氷がパキッと鳴いた。


目線の高さまでグラスを上げ

外の景色を眺める。


グラス越しの景色は、尚更に綺麗だと思える。

琥珀色の世界に、口をつけた。


雨の音を肴にするのは風流だな。

思って口角が上がった。


アルコールを取り入れた体が

熱を上げていく。


酔いながら雨を聴いた。

願わくばこのまま、降り続いてほしい。

 

               『雨音琥珀』


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