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【ホビ月】2022年7月号

こちらは
・その月に読んだ書籍
・その月に聞いた音楽
・その月に起きた諸々
についての意見・感想です

※6月号を失念していたので増刊号になります

書籍

東野圭吾『探偵ガリレオ』

2022年6月2日 読了

東野圭吾『容疑者Xの献身』

2022年6月4日 読了

「ガリレオ」シリーズ、実は読んだことがなかったので初読。
『探偵ガリレオ』のほうは科学とミステリの融合といった感じで、脳内では福山雅治が事件を快刀乱麻の推理で解決していった。(こちらは化け学がメインで、S&Mシリーズは科学のほうがメインだと思うのだが)森博嗣よりは初見かつ小説に親しみがない人でも気軽に読めるんじゃないかと思う。

対して『容疑者Xの献身』はまさかの倒叙モノで驚いた。しかも科学が全然出てこない。あるトリックの使用により「『容疑者Xの献身』は本格か否か」という騒動をミステリ界を巻き込んで引き起こした本作、面白かった。殺人者とその協力者、動機、殺人現場のすべてを読者が知り得た上で「ではどうやって/いかにして犯行を隠し通すのか?」という謎を捜査陣とともに解き明かしていく点において、非常に物語への没入がしやすい。傍観者ではなく、自分も”探偵”のひとりなのだと実感ができた。


佐藤究『QJKJQ』

2022年6月9日 読了

「自己の消失」というカタストロフィを迎えたその後の行動がとても爽快。自分とはどういった存在であるのかを突き詰めて、結果それが自分を世界から殺してしまったとしても、それでも楽な道を選ばずに自己の修復と完全なる「自分」の獲得への壮大なサーガ。上手に頭の中で情報を調理しないと難しく感じてしまうかもしれない。ただ、その手間をかけるほど十分に味わえる面白さがある。


京極夏彦『絡新婦の理』

2022年6月19日 読了

仏教をテーマにした『鉄鼠の檻』の次はキリスト教が主題。舞台もミッション系女学校。ただ、あくまで基督教はこの物語に登場するひとつの「話題」に過ぎず、他にもフェミニズムや性についての話が展開される。それだけに登場人物も女性が多く、その大半はなにかに「憑かれて」いる。これを落としにかかるのがご存知京極堂。相変わらずとめどなく溢れ出る知識と文章が気持ち良い。
戦後のフェミニズム運動を取り上げて、それに対して京極堂が議論の相手に話していた内容のほとんどは今でも通用するし、逆に言えば本作(文庫版)が出版された2002年から20年が立つけれど「2022年になっても未だにフェミニストの間違った主張・語解は改善されていない」という気持ちにもなる。自分の中でベストである『鉄鼠』は超えてこなかった。


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