マームとジプシー『COCOON』感想

2022/08/06
@穂の国とよはし芸術劇場PLAT

記憶力悪めなので間違って覚えているところあると思います。スミマセン。

高校生の時に演劇部で、顧問に見せられた『COCOON』。枠を使った表現や、劇中にセリフが何度もリフレインする手法に新鮮さを覚えたのを思い出せます。でも、なぜだか自分の中で何より残っているのが壕で治療を受ける兵士が「学生さん」「おかあさん」と何度も叫ぶシーン。

前半の、女学生たちが踊るようにリズミカルに動きながら会話をするシーンは、やっぱり見応えがあります。軽やかに、舞台を自由に縦横無尽に動いているようで、すごくシステマチックに構成されていますよね。女学生たちの動きと枠によって生活のようすが次々と目まぐるしく変わっていくのを見ていると、パズルがカチッとはまっていくような爽快感を覚えます。変化に関して言えば、あまり変わっていなかったように思います。もっとも、映像で見たのは何年も前のことなので、あまり覚えてはいないのですが...。

今回は女学生たちが壕に治療要員として入ってからのシーンが結構変わっていた気がします。私がとくに印象的だったのは蛆の描写。「耳からウジが入り、鼓膜のすぐそこまで来ているのがわかる」といった趣旨のセリフがありました。バックには蛆が蠢く様子が映し出されていて、なんだか想像出来てしまうんですよね。腕を切断するとかのシーンは、いくら俳優さんが上手くても正直想像がつかない。だから全然見れるけれど、こういうのって生々しくて、つい目を逸らしたくさえなってしまいました。今回のCOCOONは結構そういう、リアルな描写が多かった気がします。水滴の音に関する描写とか、最後の方のサトウキビとか。そうして、女学生が1人また1人と倒れていくにつれて、学校のシーンのリフレインが挟み込まれます。サンたちの思いを追体験しているような気分で、なんともやりきれない気持ちになりました。

また、余談ですがマユが後半で自分の事を僕と言っていた(最初から僕でしたっけ?)のは何でかな?と思っていました。漫画COCOONを見てみると、「寒い」と繰り返しサンをレイプしようとした兵士がマユに向かって「おまえ、女じゃ、な...」と言っていてなるほどと思いました。マユはトランスジェンダーだということを示唆しているのかな?とか思いました。


アフタートークによると、今回の2022年版はもともと2020年に上演する予定だったそう。コロナの影響で2022年にまで延びてしまったのだとか。音響は、沖縄で実際に女学生たちが辿った道をなぞるように撮っていったこだわりがあるのだとか。また、藤井さんは近年の情勢(ロシアによるウクライナ侵攻など)により、戦争という言葉が人々にとってよりリアルなものになっているというようなことも仰っていました。

前回・前々回のCOCOONから大きく形を変ええていったCOCOON。素晴らしい劇でした。なかなかないほどに拍手がなりやまなかったのが、何よりの証拠だと思います。

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