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丁寧さの裏返し

 こんにちは、angelo代表です。いきいきとした新緑が眩しい季節になりました。花々は咲き乱れ、そろそろツバメも飛来しそうです。自然からの季節のお便りが一気に押し寄せてきたようです。

 メールやチャットツールが登場してからというもの、ビジネスシーンで電話をかけることがめっきり減りました。かつてはFAXという手段もありましたが、昨今ではその需要はごく限られたものになったのではないでしょうか。登録フォームなどにFAX番号の記入欄があったりするともはや「何に使うのか?」と訝しく思うレベルです。電話の応対についてはまた別の機会にお話するとして、今日は業務でメールやチャットツールを使う時に心がけたいことについてお話したいと思います。

 メールやチャットは電話と違って相手の都合の良い時に確認してもらえる、検索やリマインドも行いやすいのがメリットですね。ただし話し方や声色でニュアンスを伝えられる電話と違って、テキストはともすればぶっきらぼうにも感じられることがあります。メッセージを意図しない形で受け止められてしまうのはリスクです。回避するためにできる限り懇切丁寧に伝えようとする意識がついつい働いてしまいます。日本は「包む」文化で、ラッピングの包むのみならず、言葉にも「歯に衣着せる」という表現があるほどで、包まれているほど良しとされるところがあります。もちろん、場合によってはそうした言葉の装飾や間接表現がとても効果的なこともあります。

 しかしながら業務連絡にどこまでそれが必要かどうかは要検討です。業務連絡にはいくつかの丁寧グレードがあります。例えば、社内への連絡と、クライアントなど外部への連絡では明らかに異なります。敬語には「丁寧語・謙譲語・尊敬語」がありますが、社内向けのテキストに謙譲語や尊敬語を多用するのはある意味Too Muchで、簡潔かつ丁寧にすることを心がける方が良いでしょう。なぜならテキストを作成するボリュームが多ければ多いほど、作成する側も、それを受け取って読む側も時間を要するからです。社内連絡では丁寧さを失うことなく「簡潔に要点が伝わるようにする」ことに最も注力したいものです。(社内の場合は他の手段でフォローができることも、大きいですね。)

  丁寧グレードが上がって社外へのテキストを作成するときにはもう少し言葉の種類が多様になります。謙譲語や尊敬語が必要になるからです。しかし実は基本的には同じこと、つまり「簡潔に要点が伝わるようにする」ことに注意するべきかもしれません。丁寧さを追求するあまり、回りくどくて結局のところ何が言いたいのかを突き詰めると「え、それだけのことのためにこんな長文?」というのでは、長々と読まされる方もげんなりしてしまいます。また謙譲語と尊敬語では尊敬の対象がどちらに向いているのか、というトラップもありますので気をつけたいですね。(その場合は一度敬語を使用しないバージョンに分解してしまうとわかりやすいですよ)

 いずれの場合にも大切なのが「送る前にもう一度読み直す」ということでしょう。ココ・シャネルは「出かける前に鏡をのぞいて、アクセサリーをひとつ外しなさい」と言ったそうですが、テキストにも言えるのかもしれません。Too Muchになりすぎて伝わりにくくさせていないか、丁寧さと簡潔さのバランスがとれているか、私自身も気をつけたいところです。

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