【東京五輪マラソンコースあれこれ(4)】 寅さんが道を尋ねた交番の跡
映画「男はつらいよ 望郷編」(1970年 松竹)で、寅さんは弟分の登と一緒に札幌にやってきます。昔お世話になった政吉親分が危篤だと聞いて飛んできたのです。
寅さんが警察官に道を尋ねたのが、創成川と南1条通が交わる創成橋のたもとにあった南1条交番。赤れんがに瓦屋根の古く美しい建物で、映画ではその背後を市電の600形電車が都心方面へ走っていきます。
その交番も、創成橋を渡る市電の線路も今はありません。交番は北海道開拓の村に移築保存され、跡地には交番の印象を残す赤れんがの休憩所が平成23年(2011)に完成しました。
政吉親分は「上村医院」の大部屋に入院していました。すっかり衰弱してしまった親分は最後の力を振り絞って、小樽にいる絶縁状態の息子に会いたいと寅さんに懇願。寅さんは「待っててくれよ、きっと会わせてやるからな」と引き受けるのです。
上村医院は当時、写真右奥の上村漢薬堂に隣接していたビルに実際にあったそうです。
赤れんがの休憩所と上村漢薬堂、そして何よりも、昔の面影を残して改築してくれた創成橋があるおかげで、寅さんファンにはたまらない風景が今もここにあるのです。
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