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ダダダイアリー、主に映画。2023/8/16ー8/31

8月16日
BS世界のドキュメンタリー「片膝をついた抗議 花形アメフト選手の選択と代償」録画鑑賞。
マイノリティへの不当な扱いに抗議する為、国歌斉唱中に片膝をついたコリン・キャパニック。トランプをはじめとする進歩のない白人至上主義者を中心にNFLの選手生命を奪われるが、ジョージ・フロイトの死によるBLMムーブメントの中で漸く彼の行いが評価されてシンボル的な存在となって行く。信念があるなら誤解されても貫くこと。ホントに素晴らしい人だな。勇気を貰った。

109シネマズ二子玉川にてグレタ・ガーウィグ監督「バービー」鑑賞。
マーゴットの見事なティピカルぶりで浮き上がる実は進歩してない世界の様相。その世界で私は私として如何に生きていくのか。その始まりの物語。
ルース・ハンドラーからの眼差しの継承。フランシス・ハが駆け抜けた道の先に繋がるバービーランド。至る所にグレタが宿る最新のガーウィグ劇場。心のドレスコードを全身ピンク にして挑んだ2回目は更に最高度が増してた。

8月17日
BS世界のドキュメンタリー「ブルース・リー10枚の写真」録画鑑賞。
10枚の写真と関係者の証言で綴るブルースの生涯。貴重な写真とインタビューと映像。ハリウッドのガラスの天井を打ち破り伝説となった燃え切った32年。簡潔にして無駄の無い構成の見事なドキュメンタリーだった。

ユーロスペースにて、須田裕美子、柴山努監督「ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌」鑑賞。
偶然出逢った絵の上手いお姉さんとの想い出。大瀧詠一や細野晴臣の思わぬ名曲と共に綴る細やかなエピソードを大切に積み重ねた名作やっと観れた。35㎜フィルム上映がまた作品の風味とマッチして感動が倍増した。良い夏の想い出を貰った感じ。

帰りに用賀のロックバーエピタフに久々に立ち寄り涼を取る。持参したSPARKS「涙のラテ」、Chambers Brothers「Time Has Come」、ジョニ・ミッチェル「夏草の誘い」のCDを流して貰いご機嫌になって帰宅。

8月19日
ハルキ文庫「吉増剛造詩集」読了。
凡ゆる記憶や知識や経験や歴史や情報や想像を動員して放たれる詩線。様々な年代を網羅したアンソロジーだが、青春の始まりから成熟への獲得に至る一つの物語の様な流れと纏りのある一冊。特に詩人の書く日記「航海日誌」が素晴らしい。

ユーロライブで開催の第34回東京学生映画祭にて、Cプログラム鑑賞。
渡邊龍平監督「完璧な若い女性」
perfect young ladyの楽曲と本人を大フューチャーした青春歌謡映画。昭和の終わりのレトロ感。予想以上にスクリーン映えするpyl。これ目当てで来たので大満足。
高木万瑠監督「USE BY YOUTH」
ジャンケンして殴り合う純愛バイオレンス。まさかのバイオレンスに引いたけど面白くしようとする意気込みが伝わる作品だった。
河村陸監督「ペットボトルロケットが飛んだら終わり」
作品の内容とは一切関係なくウトウトしてしまったのでボンヤリ鑑賞。撮影が良かったという印象しかない。もう一回見直したい。
上映後には監督3人と長谷川和彦の代役ゲストとして清水崇監督によるトーク付き。作品へのそれぞれの想いや清水監督の温かい感想など聞いてるともう一回全部見直したくなった。あとpylも会場に来てて少し話せて良かったな。

その後はMiyashita parkに移動。ortokyoにて開催の「#ミトヤマネ」公開直前スペシャルイベントへ。
宮崎大祐監督最新作「#ミトヤマネ」のSPイベ。クラブ仕様でDJガンガンかかってアガるやつ。
DJバイレファンキかけ子、nonayu and DJ水母娘娘のライブに続き、宮崎監督、玉城ティナさん、稲葉友さん、音楽担当のvalkneeさん登壇によるトーク。トーク後にvalkneeのライブという豪華さ。期待値が爆上がりしたし、玉城ティナさんの目がキラキラしてて眩しくてサマソニ行かないでこっち来て正解だったなとつくづく思った。

8月20日
幕張メッセで開催の「サマーソニック2023」東京2日目へ。
一度は覗いてみようと思ってたサマソニ。って事で今回初めて参加したけどとにかく暑かった。フェスやってる場合かって位暑かったけどせっかく来たのでNOVATWINS、ももクロ、MAISIE PETERS、オリラブ、女王蜂、CHAI、EVANESCENCE、BABYMETALを観た。ビーチも行ったし、フェス飯も食べたし、シャトルバスも乗ったし無事にサバイブする事が出来た。全員のステージもパフォーマンスも最高だったので満足。もう2度と来なくて良いかも。良い意味で。

8月21日
寺尾紗穂「日本人が移民だったころ」読了
かつて国策として海外移住を推奨され多くの人が海を渡った。その人たちのその後を現地に足を運び直接取材したルポタージュ。寺尾の優しい語り口で饒舌になる生存者やその家族の肉声を掬い取り、現代の移民問題にまで繋げた今読むべき渾身の一冊。

8月22日
「左川ちかトリビュート1911-」アーカイブ視聴
24歳で夭折した詩人左川ちか。昭和初期に登場した彼女の詩の現代性。その魅力を翻訳の立場やフェミニズム的側面からなど多面的に捉え言葉を浮かび上がらせる170分de左川ちか。カニエナハの手話朗読や青柳菜摘のトリビュート朗読更にトリビュートのトリビュートへの展開など。今回初めて左川を知ったけどこのイベントで一気に興味出た。

「FIFA女子ワールドカップ決勝スペイン対イングランド」録画鑑賞。
今頃観たけどスペイン素晴らしかったな。予選リーグで日本に完敗したあと立て直しての優勝。あの華麗なるパス回し。カルモナのゴール。イギリスのラフプレーを凌いだチームプレーに感動。そして宮澤ひなたは得点王獲得して良かった。それにしてもなでしこ大活躍したのにこの盛り上がらなさはなんだろう。連日大谷だけ追いかけてるメディアが本当に気持ち悪い。

ヒュートラ渋谷で開催中の「ジャン・ユスターシュ映画祭」にて、4年ぶりの再会となるユスターシュ作品3本鑑賞。
「わるい仲間」
休日をナンパとバーのハシゴで過ごす冴えない青年2人組。「オレたちホント酷いな」と笑い合う2度と戻らない退屈な日々。4年ぶりに観たけど相変わらずバカなコンビのままで良かった。救いようのないものを掬い取るのがユスターシュ。最高。

「サンタクロースの眼は青い」
JPLのこの冬の目標はダッフルコートを買うことに決まり。ダラダラと過ごしながらそれでも漸くコートを手にした頃にはもう流行りじゃなくなっている。いつも間に合わない自分を受け入れてJPLはまたダラダラと歩き始めるのだ。

「ぼくの小さな恋人たち」
少年期の終わりと青年期の始まりの間にある「と」の季節。不合理で不条理で不安定で哀しくて最低だけど美しい季節。揺れまくる心情と蒼い絶望を乾いた眼差しで見つめながら35㎜の見事なカラー撮影で切り取ったユスターシュの静かな傑作。

8月24日
イメフォにて、クリストバル・レオン、ホアキン・コシーニャ監督「オオカミの家」鑑賞。
コロニーを抜け出した少女が体験する悪夢というフェアリーテイルを驚異のストップモーションアニメで描くユーモラスで不気味で露悪的でいかにもアリ・アスターが絶賛しそうな作品。併映作「骨」の方が好みだった。いずれにしても、どうかしてるレベルのヤバい映像作品だった。

続いてヒュートラ渋谷の「ジャン・ユスターシュ映画祭」にて「ママと娼婦」鑑賞。
どうしようもないどうしようもなさをどうしようもなく描く正直さ。救いの無い結末が救いになるユスターシュの誠実さに貫かれた220分のこじらせ。初めて観た時にはオロオロするJPLに夢中になったが、4年ぶりの今回はフランソワーズ・ルブランに圧倒された。やっぱり「ママ娼」最高だな。

8月26日
グカ・ハン「砂漠が街に入り込んだ日」読了。
映画「ソウルに帰る」でフレディの友人テナを演じたグカのフランス語で執筆されたデビュー短編集。架空の都市ルオエスを舞台とした8つの物語が清らかな孤独で繋がる。特に「家出」に描かれるイノセンスの結晶は素晴らしかった。

ドキュメント72時間「アフガニスタン食堂で完全版」録画鑑賞。
撮影が途中中断され結果的にアフガンストリートで生きる難民たち全般にスポットを当てる事に成功した完全版。仕事終わりの夜中に近所の難民仲間皆んなでサッカーをする姿。絶望の中でも生き抜くのだという覚悟に泣けてきた。プラウ食べてみたいな。

「アナザースカイ/岸井ゆきの」録画鑑賞。
ベルギーでマグリットを鑑賞し、弾けまくる岸井。作品にどういうメッセージが込められているのかの答え合わせをするのではなく、自分がどう思うかを大切にする。さすが生粋の映画、絵画好き。むちゃくちゃ共感した。そして「ケイコ目を覚まして」また観たくなった。

8月28日
Eテレ「朝までラーニング」録画鑑賞。
サンシャイン池崎が相対性理論について100分の講義を受けて3分で説明するというチャレンジ企画。最終的には10分の動画でザックリ説明してジョイマン高木が相対性理論…僕の服ナイロンとか言って締める。ホント100分返してくれよと池崎出なくても叫びたくなる番組。こういう無駄な時間好きだな。

池袋シネマロサにて、小野峻志監督「野球どアホウ未亡人」鑑賞。
野球に目覚める未亡人の破天荒な生き様。予想以上にしっかりとふざけており、ちゃんバカで本当にどアホウだった。野球を最も愚弄しながらそれでいて野球そのものだと言う錯覚に一瞬陥る野球ムービー。まさかの3部構成で沢山の無駄を詰め込みここまでノーメッセージを貫けるのが凄い。いやぁ何も残らなかった。
ロビーで小野監督と主演の森山みつきさんが居たのでパンフにサインしてもらった。嬉しい。いつか重野さんの本をいつか読んでみたいな。
あとロサに何度も来てるけど2階に来たのは初めてで新鮮だった。

8月29日
キララとウララ「ダブル・ファンタジー」
テクノ歌謡の名曲「センチ・メタル・ボーイ」を含む唯一のアルバムにシングルB面曲などボーナストラック9曲を収録したコンプリート版。細野晴臣、EPO、井上大輔など作家陣も豪華で楽曲のクオリティも高い。スターボーと並ぶ80年代が遺したニッチな名盤。

TOHOシネマズ新宿にて、宮崎大祐監督「#ミトヤマネ」鑑賞。
インフルエンサーミトヤマネのバズりまくる人生。拡散され消費され尽くされた果てに待ち受ける新たなステージ。宮崎作品だからきっと「何これ」な展開は予想してたけど、ホント「何これ」って感じで、その何これ感にトキメク何これ集大成的な作品。で、何でパンフ無い?
あとゲストキャストが皆んな好きな俳優で凄かった。

続いてそのままTOHOシネマズにてグレタ・ガーウィグ監督「バービー」鑑賞。
あまりに目に余る酷い世の中なのでピンクパワー注入って事でまた観てしまった。3回目。
「バービーはいつも期待を超えてくる」byルース・ハンドラー
「ガーウィグはいつも期待を超えてくる」byダダ
って事で今回も最高だった。

最後は新宿ピカデリーに移動して、林海象監督「遥かな時代の階段を」鑑賞。
私立探偵濱マイクシリーズ第2作。ホントに久々で劇場で観るのは初めてだったけど、これこんなに傑作だったのか。シネマスコープのカラーフィルムに広がる黄金町のランドスケープ。水上バイクのチェイス。豪華俳優陣の競演と男はつらいよ的なほろ苦さ。いやぁ面白過ぎた。で、上映後は公開記念ファンミーティングとして林海象監督、古賀俊輔プロデューサーに佐野史郎さんをゲストに迎えたトーク付き。撮影エピソードや林監督の新作で佐野史郎はやはり悪役に仮決定など色々盛り上がり楽しかったな。コレは「罠」も楽しみだな。

8月30日
鑑賞から丸一日経って、突然ある仮説が浮かび上がり「#ミトヤマネ」の不明な数々が自分なりに解釈されスッキリした。でもまた観直したらひっくり返されるかもしれないな。

8月31日
「われらはすでに共にある 反トランス差別ブックレット」読了。19人の執筆者によるエッセイにより分断を煽る政治的ワードとして利用されているトランスを個人に奪い返す試み。拡散されるデマの切れ端で安心する無知な態度は罪である。知ろうが知るまいがわれらはすでに共にある。ならば知っておくべきだ。1人1人の声を。巻末の関連映画やブックガイドも参考になる一冊。

ケイズシネマ似て、いまおかしんじ監督「天国か、ここ?」鑑賞。
島根に良く似た寂れた海岸のような天国か、ここ?で、「れいこいるか」のあのコンビが彷徨い繰り広げられる賑やかなレクイエム。もう会えない人たちに、またいつか、と伝える為の映画。最後は泣くしか無いよな。もう巨匠感すら漂う円熟のいまおか劇場に感無量。
上映後には、いまおか監督、水澤紳吾さん、守屋文雄監督に、主演の河屋秀俊さん急遽参加してのトーク付き。と思ったら出演者の川瀬陽太が別の舞台挨拶前に駆けつけての豪華なアフタートークが実現。限られた条件を逆手に取った素晴らしい作品の成り立ちが知れて良かった。

続いて同時開催のいまおかしんじ監督特集にて、「たまもの」鑑賞。
いまおか監督の初期代表作をインターナショナル仕様の英語字幕付きフィルム上映で鑑賞。コレはレアだし「天国か、ここ?」の後だと感慨深く過去イチの感動が訪れた。
永遠の林由美香による永久不滅の名作。何度観てもやっぱり面白い。

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