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10月13日の雑記 シシャモフライに直す

今夜は食卓にシシャモフライを並べたいと思い、スーパーでアイスランド産のシシャモ10匹入りを買い求めました。

自宅に戻り、キッチンで、爆発防止のため、シシャモの腹にフォークで数か所穴をあけ、

①溶き卵 → ②小麦粉 → ③パン粉 の順番で衣を付けました。

しかし、いつもと違って、どうもパン粉が材料に全く絡んでこない。

お料理をする皆さんはお気づきでしょうが、そうです、私は衣をつける順番を間違ってしまったのですよ😢 

正しくは

①小麦粉 → ②溶き卵 → ③パン粉 ですね…

私は、自宅で揚げ物を滅多にしないのですが、それを置いてもこんな初歩的なミスをしてしまうとは。
しばらく遠のいていたので、基本も度忘れしてしまったのですね。
何だか原始人のような姿にしてしまったシシャモを前にして、少し落ち込んでしまいました。

このまま揚げてしまって、シシャモフライとグリル焼きとは違う、第三の姿と味を体験してみようか、とも思いました。

だけど私は、今日はどうしても、フライにしてみたい。
いつものグリル焼きもいいのですが、あの衣のサクサク感と、その先の頭の苦みを味わいたいし夫にも味わってほしい。

ということで、本来のシシャモフライの姿に直すことに決めたのです。

ところどころ身にくっついているパン粉(幸い目が粗いパン粉でした)をはがし、小麦粉はすでについているから、再度溶き卵にくぐらせ、パン粉を付けようかとも思いました。

が、どうせ魚だし?一度水で洗い流したくらいでは味落ちしないかな(あくまで独断です)、と思いつき、水道水を弱めに流しながらシシャモ本体に絡んだ衣をすべてはがし、キッチンペーパーで水分を取り除いた後、衣を正しい順番でつけ直しました。
こんな行動を取るのは、世界広しと言っても私くらいでしょう。

今度は、薄茶色の小麦粉に全身覆われたシシャモフライの前身10尾が、見事に出来上がりました。
求めていた姿を確認し、一安心です。
だけれどもそこで、次の素人疑問に突き当たりました。

フォークで刺した穴に水分が入り込み、油で揚げている際に爆発したらどうしよう…身ごろの水分を逃がすために穴をあけたのに、思いがけず水洗いしたことで、そこに水分を注入してしまったような気がしたのです。

たった数十分で心労に襲われ、一度シシャモが入ったバットを冷蔵庫に収納してから、へなへなとリビングに座り込みました。
トンカツやチキンカツなど肉類を揚げたことはありますが、それらと違って手間暇がかかるんだろうと思い、今まで魚類のフライ作りは回避しておりました。
その報いが今、アラフィフになった私に帰ってきたのです。

今日は夫が残業で遅くなるし、米とぎや味噌汁、外一品は既に用意しています。後は納豆を付け加えるだけ。時間の余裕はあります。
今から別なメインになる材料を買いに行こうか。

そう考えていた矢先、テレビの夕方のニュース番組での、アナウンサーの言葉が耳に飛び込んできました。

「今月は、食品ロス削減月間です、と消費者庁が呼び掛けております。」

何だか私を励ますために流れてきたようなニュースです。

やっぱり無駄削減に貢献するためにも、このフライを今夜揚げてみよう。
もしかしたら味が落ちているかもしれないし、調理途中で破裂する恐れもあるけど、それが理にかなっているのだ、と都合よく決意し、夫の帰宅を待ちました。


さんざんやらかしたヘタレな自分から目をそらすため、noteでの素敵な記事をたくさん読んで、気持ちを紛らわせ、胸のざわつきがそろそろ落ち着いてきた夜の九時、夫が帰宅しました。
そこから私の小さな挑戦が始まります。

フライパンの油には、2~3尾づつシシャモを投入することにしました。
シシャモの卵爆発シャワーを浴びるリスクを、少しでも分散させるためです。
何となくガードするつもりで鍋の蓋も持ち、180度のサラダ油で慎重にフライを揚げます。

その姿を見た夫は、「おおどうした?」と声をかけてくれましたが、疲れ果てているせいかそれ以上突っ込むことはしませんでした。
私も疲れてはいますが、今までに使ったことのない神経をまさに尖らせています。
さて、私は無事にシシャモフライを完成させたのか…

結果食卓には、私の当初の希望通り、シシャモフライを並べることが出来ました。
一尾もパーンとすることなく、綺麗で無傷なままで。

シシャモはやっぱり優秀です、火の通りがよく、例えフライでも短時間で綺麗なきつね色になってくれます。

疲労のせいか、脳の記憶の補正のせいか、あの衣の先の、ホロ苦の味を感じることが出来ました。夫もむしゃむしゃと食べてくれて、私はたいそうホッとしました。

夫はいつも、食事の用意に対して、必ずお礼を伝えてくれます。
今夜もいつもどおり、ありがとう、とまずはお礼を言ってくれました。
そして続いて

「シシャモフライも美味しいんだけど、やっぱり俺は普通に焼いたものが一番好きだなぁ。」


うーん、そうでしたか。
今までの私は、手頃な値段で、1年中いつ行っても魚コーナーにて待ってくれるシシャモに、随分頼っていました。
焼くだけで味わい深い立派な一品になる、夕食メニューに困った時には思わず手を伸ばしてしまうのですが、又かと自分でも夫にも思わせないため、せめて食卓に出す頻度を抑えていました。

私の夫は、手が込んでても(自分比)そうでなくても、いつも私が作る料理を褒めてくれる人です。
我が家では、シシャモと言えばグリル焼きが定番。
あまりにもシンプルすぎなのにとても喜んでくれるので、家族と言えども多少気遣いがあったのかと思っていたのですが、なるほど、あれは心からの言葉であったか。

いつも一緒にいるからと言って、なんでも相手のことが分かっている訳ではない。
やってみて、初めて気が付かされることもあるので、たまにはしてみ失敗もるもんだ?と思いました。

次からは、シシャモと言えばグリル焼きを、我が家の定番に正式に組み込もうとも思いましたが、まだ油物を受け付けられる体質のうちに、再びシシャモフライに一度はトライして食べたいものだとも思っています。