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【今日コレ受けvol.090】声を知りたい

7時に更新、24時間で消えてしまうショートエッセイ「CORECOLOR編集長 さとゆみの今日もコレカラ」。これを読んで、「朝ドラ受け」のようにそれぞれが自由に書くマガジン【今日コレ受け】に参加しています。


昨日、取材前に小学校の発表会があった。
息子のクラスの演目は、イギリスの伝説的ロックバンド、クイーンの『We Will Rock You』。

ドンドンパン、というおなじみの足踏み、手拍子と共に英語で歌う、というものだ。
家でずっと練習をしている姿を見ていたので、「これだけは聴かなければ」と、取材前ギリギリの時間だけれど、駆け込んだ。

そこで驚いたのが、息子の声だった。
歌の、ではない。
歌い出す前に、「今日は来てくれてありがとう。私達は日本のロックスターです。聞いてください!」というようなセリフをみんなでひと言ずつ、英語で言う場面があったのだ。

そこで息子が言った「Listen to us!」という言葉が、誰より聞こえやすく、そして大きかった。(親バカです)その堂々とした声に、彼の成長を感じた。


そう考えると、声ってすごい。
ただの音なのに、そこに含まれている情報量は非常に多いのではないだろうか。
電話でも、相手の声だけで、機嫌が悪いとか、寝起きとか、楽しそうとか、さまざまなことが伝わってくる。感情や、置かれている状況が。

ひるがえって、自分の声は何を伝えているだろう。
いや、伝えられて、いるのだろうか。
または、伝えてしまって、いるのだろうか。

できれば、ワクワクや楽しさ、愛情など、ポジティブなものを伝えたい。取材なら、相手がリラックスできるような、落ち着きや安らぎを。
「話す内容」「聞く内容」ばかりに意識を向けてきたけれど、改めて、「声」にも意識を向けていきたいと思った。


発表会の息子の出番後、車を飛ばして向かった取材先は、ある神社。
平安時代からという長い歴史を聞きながら、ありし日の人々の姿を想像し、耳を傾けてみた。すると頭のなかに、豊作を祝い、にぎやかに神輿を背負うかけ声が、聞こえてきた。

ああこの声、直接聞いてみたかったな。

昨日、ライターの大先輩、横山瑠美さんの記事を拝読して、国立科学博物館では魚類の「色」まで保管していると知り、驚いたのだけれど。

「声」もぜひ、博物館で保管してくれないだろうか。そこから伝わってくるものは、きっと大きい。

もしかしたら、「見る」「読む」よりもずっとリアルな人や、動物たちの姿が感じられるのではないだろうか。たしかな温もりと共に。

いつか遺言を残すときは、音声にしようかな。


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