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【今日コレ受けvol.062】細く長くしぶとく

朝7時に更新、24時間で消えてしまうショートエッセイ「CORECOLOR編集長 さとゆみの今日もコレカラ」。これを読んで、「朝ドラ受け」のようにそれぞれが自由に書くマガジン【今日コレ受け】に参加しています。


「今日からどうぞよろしくお願いいたします!」
「よろしくね。じゃあ、早速取材同行いってみようか!」

2社目に勤めた編プロの初日。挨拶もそこそこに、交わされたやりとりだ。事務所の滞在時間はわずか10分。気づいたら、先輩ライターと一緒に取材先へ向かう電車に乗っていた。緊張で先輩を質問攻めにしながら。

取材先は、確か神戸・新開地の洋食店。1社目の編プロでは情報誌の取材をしたことがなかったので、必死に先輩が何をたずね、カメラマンさんにどう指示しているのか、メモしまくった。
そして翌日、いきなり一人での取材を指示された。

と、一時が万事こんな感じで、「手とり足とり教えてもらう」という環境では決してなかったが、とにかく実地で訓練を積ませてもらった。質より量、数の勝負。失敗は数え切れない。
でも、それをリカバリーしてくれる環境があった。先輩も一緒に謝ってくれた。
厳しくも温かく育ててもらったと思う。本当にありがたい。


だが当時、どちらかと言えばライターの仕事は「3K」として嫌煙されていた。実際、編プロに15年いる間、新人さんが入ってきても、残業と給料の安さを理由にすぐ転職していった。業界内で「若手のライターさんいない?」は、挨拶のようなものだった。その頃、業界の平均年齢はかなり高かったのではないだろうか。

それが今では「ライターになりたい」という方にたくさん出会う。SNSでも毎日のように、新しいライターさんを見かける。「時代は変わったんだな」と心から驚いている。
ライターという仕事の主戦場も、半分は紙から、WEB上へと移った。企業に属さないフリーランスライターが増え、コロナ禍で、オンライン取材も当たり前になった。
歳月の移り変わりって本当にすごい。


昨年から、「ライターは生成AIにとって変わられる」なんていう言葉をよく聞くけれど。それもまたひとつの流れで、10年先にはきっとまた違う形で、ライターは生き残っていると思う。
人類に言葉がある限り、それを文字で伝える限り、ライターの仕事はなくならないはずだから。


編プロ時代、御本人もディレクター兼ライターとして働く社長に聞いたことがある。「社長はこの仕事、何歳まで続けるおつもりですか?」と。
間髪いれず、「生涯現役でいる」という答えが返ってきて驚いた。

だが自分も歳を重ねた今、その気持がよく分かる。身体が動く限り、現役でいたい。なにか書いていたいのだ。

そのためには、たゆまぬ努力も、丁寧な仕事もきっと大切だろうけれど。
まずは心身ともに健康に。無理は禁物だ。
細く、長く、しぶとく書いていきたい。


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