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【今日コレ受けvol.024】「普通にいい人」ってどんな人?

朝7時に更新、24時間で消えてしまうショートエッセイ「CORECOLOR編集長 さとゆみの今日もコレカラ」。これを読んで、「朝ドラ受け」のようにそれぞれが自由に書くマガジン【今日コレ受け】に参加しています。


京都のホテルの取材にはじまり、大阪のホテルの取材で終わった日だった。

最後の取材後、そのホテルの総支配人さんが「一杯だけいかがですか?」と誘ってくださったので、編集者さんとカメラマンさんと、ものすごくおしゃれなそのホテルのバーに立ち寄らせていただいた。

音響にもこだわっていて、高い天井からスローテンポなバラードが降ってくる。


そこで印象的だったのが、総支配人さんが昔一緒に働いていたという、二人の先輩のお話だ。

彼はお二人が「今いかに活躍されているのか」を語った後で、
「でも二人とも、話してみるとめちゃくちゃ普通のいい人なんですよ。 たぶん取材しても、とがった感じとか、キレモノ感はないと思います」
とおっしゃった。
けれど、とにかく真面目だった…と。

そして、そのうちお一人の真面目さを物語るエピソードとして、
ホテル高層階のレストランで仕事をされていたときに、あえて嫌われるゴミ捨て役をいつも買って出ていたこと。ゴミ捨て場のある1階まで、かなり時間のかかるエレベーターのなかで、英語の勉強をしていたことを教えてくれた。


その話が彼にとって足なのか、爪なのかは分からない。でも、とても大切に心にしまわれている想い出を語ってくださったのには間違いない。


それを聞いて、
「いつかそのお二人に取材して、すごさを物語るエピソードを引き出してみたい」と思った。
お二人が、きっと人知れず重ねた努力を、多くの人に伝えられたら…と。

そう思えたことが、なんだかうれしかった。

だって、こうやって一見「普通にいい人」のすごさを深掘りして伝えられるかもしれないことこそが、ライターという職業の醍醐味ではないだろうか。

それに、「普通にいい人」が報われる世の中って、なんか素敵だ。
そのほんの小さな一翼を担いたい。

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