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川島小鳥「vocalise」

写真展では、せっかく来たんだからと3周も4周もして、物販で一息入れて、たまに反対回りもしてみたり。じっくりと見はするものの、どこに注目し何を見るべきなのか、といつも悩む。構図を学ぶ、光の方向を感じる、プリントのナマモノ感を堪能するなど、無理に具体性を持たせるけれど、結局“足を運んだ”という事実だけが主な目的になってしまう。
だけど今回、川島小鳥さんの写真展「vocalise」を経た帰り道。憑き物が削ぎ落とされたような感覚で周り(その辺を歩いている他人とか)に優しい気持ちになれたり、景色が妙にきらきらして見えたりして、ああそういうことなのかも知れない、と腑に落ちました。

Don't think. Feel. (考えるな。 感じろ。)

お店の扉を開いたら小鳥さんが在廊されていた。写真集がとても良かったからせっかくなのでサイン入りを購入したら、名入れとチャーミングな書き足し(💘)もしていただけた。小鳥さんもNikon Fマウントを使っていること。同じフォクトレンダーの40mm(レンズ)を持っていること。PORTRA 400(Kodakのフィルム)は色が綺麗に出ていいですよねと共感してもらえたこと。カメラ、レンズ、フィルムについて質問をした後に「何を使ってるんですか?」と聞き返してもらえたことが、なんだかとても嬉しかった。今日はお会い出来てとても嬉しかったです、と伝えた。床に置いてある一輪挿しも良かった。

最近は心の中で定期的にデジタルの波がやってきていて(遅っ。)、デジタル一眼を触りたい、JPEG卒業してRAW現像いじってみたいと、いい波に乗ってしまいそうになっていたけど、再びフィルムに気持ちが引き戻されました。やっぱり今は、速くて作為的なものより、ゆっくりで偶然性のあるものに惹かれているから。思い返すと、川島小鳥さんも、佐内正史さんも、石川直樹さんも、好きな写真家の方々はみんなフィルムカメラで撮っている。

写真の見方も撮り方もなんちゃ分からんけんど、写真を撮ることが楽しくて、自分の撮った写真が好きなので、写真を撮る理由はもうそれだけで十分なのかなと思う。撮り終えたこの夏のフィルムが溜まっているから、そろそろ現像に出さねば。

小鳥さんの撮る未来ちゃんも、佐内さんの撮る筧美和子さんも、被写体の愛おしさが凄まじかった。川島小鳥さんの「vocalise」は16日まで、佐内正史さんの「写真の筧さん」は21日まで、のようです。

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