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スカンジナビア上空にて
初めての長いフライト。目が覚めるとスカンジナビア半島の上空だった。実際のところ現地時間は真夜中のため、下が海なのか陸なのかは判別出来なかったが、灯りの点々がいくつか見えるので、陸の上なのだと分かった次第である。
点々は複数のかたまりから単独のものまで様々で、その密度の薄さに驚かされた。日本で見る光の集合体はもっと大きく、それ同士も線で結ばれているものだが、スカンジナビアでは独立したものが多かった。星の数ほどしか人が住んでおらず、光を繋げて星座が作れそうな具合。
孤立した一つの点の生活に思いを馳せてみる。隣の家まではどのくらい離れているのか、子どもたちは学校までどのように通うのか、寒い冬は暖炉で暖まるのか、犬は飼っているのか、晴れた日にはノーリードで走り回り、人間よりも大きなムースとすれ違うことの方が多い、云々。
もしかすると、眠れない誰かがこの飛行機を眺めて思いを馳せているのかも知れない。どこから来てどこまで行くのか。あの光ひとつひとつに思いがあるのだ。なぜ、鳥に生まれずに、僕はここにいるのだろう。
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