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ブラックホール

時空の歪み

ある日、浦島次郎は海辺を散歩していた。

すると前方に小さな子供たちが何かを棒で突いている。

近づいてみると丸い甲羅のようなものである。

「可哀想に小さな亀だな‥

待てよ、楕円形じゃないぞ‥

まん丸じゃないか‥

新種の亀かな?‥

おいおい君たち、そんなことしちゃ亀が可哀想じゃないか。

さあ、お兄ちゃんがお小遣いをあげるから何か買ってお食べ‥」

次郎はいくばくかのお金を子供たちに渡した。

「えっ、いいの?

やったぁ!みんな行こうぜ」


次郎は亀を海に戻すべく手を伸ばそうとした‥

すると亀と思っていた物体は急速に膨張し始め、直径5m高さ2mほどの円盤のようになった。

「うわっ、!」

次郎は危うく腰を抜かしそうになったが、かろうじて踏みとどまった。

すると、その円盤状の側面の一部が左右に割れるように開き、

中から絶世の・・・
・・・・・・・・・



タコが現れた

次郎は思わず

「た、タコかい!」


それにしてもデカいタコだな、しかも立ってるし‥などと思っていると‥


「オドロカレマシタカ?」

「た、タコが喋った‥」

するとタコは少し憤慨したように

「ワタシハ、タコデハアリマセン。

チキュウガイセイメイタイデス」


「ちょっと聞き取り辛いなぁ‥

もっと人間ぽく喋れないの?」


「失礼しました。

私は地球名、TON618と呼ばれているブラックホール近くの星、龍宮星から来ました。

おおまか地球から200億光年かなたです」


「に、200億、こ、こーねん?

いつ龍宮星を出発されたのですか?」

次郎、いつの間にか、丁寧語になっている。


「さぁ、地球時間でいうと数時間前でしょうか」

「スウジカン・・・」


「言葉が変ですよ」


「あっ、すみません。私がタコになってました」

「だからタコじゃないっつーの」


「ともあれ、説明しても貴方には理解不能でしょうから・・・

とりあえず、乗って下さい。

助けて頂いたお礼をします」


次郎は言われるままに円盤状のものに乗り込む。

中には‥

何も無い。

が、少し身体が浮いているような気がする。

そして眠い‥


「目が覚めましたか?

着きましたよ。我々の龍宮星です」


それから、見た目地球の美女から来る日も来る日も美味しい酒、料理でもてなされた。


半月も経過しただろうか。

「家族も心配していると思うので、地球へ帰りたいのですが‥」


「分かりました。

それでは、お送りしましょう」


「・・・」

「・・・」


「あの、何か忘れてませんか?」


「あぁ、お土産的な箱ですか?

はいこれをどうぞ‥」


「あ、ありがとうございます」

と言って、見送りしてくれている美女に手を振ろうと振り返ってみると、

たくさんのエビ、カニ、タコ、魚みたいな生き物が手やヒレを振っている。


次郎

「ハ、ハヤクダシテクダサイ‥」


その後、地球に戻った次郎は家に帰った。

しかし、両親は早くに亡くなり、妹は高齢で病の床にあった‥‥



※尚、この話は、

ハリウッド映画、インターステラー及び、

童話の浦島太郎とは何の関係もありません。



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