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8/2発売【文春電書】文春文庫7月新刊&おすすめの既刊

「災害級の酷暑」が続いておりますが、皆様、いかがお過ごしでしょうか?
先日、会社の同僚とゴルフに行ったのですが、コースでは「ただいま、埼玉県では熱中症警戒アラートが発令されております」と放送されておりましたが、「止めようか」という常識人は一人もおらず、中には「水分補給が大切ですよ」と言いながら缶チューハイを流し込むおじさんもおりました。決して真似をしないようにお願い致します。

さて、今月7日は国民作家、司馬遼太郎の生誕100年です。二大人気作品、『竜馬がゆく』『坂の上の雲』にくわえて、『翔ぶが如く』、『世に棲む日日』、『菜の花の沖』などといった長編に加えて、『この国のかたち』や『歴史を紀行する』といった名エッセイまで。豊饒な作品群は文春文庫の宝物です。

お盆休みは、自宅でも、それこそ旅先でも、かさばらずにどんどん読める、電子の合本版とともに過ごすのはいかがでしょうか?本当におススメです。

長くなりましたが、今月の新刊です。

佐伯泰英『二枚の絵 柳橋の桜(三)』

新シリーズ4カ月連続刊行、第3弾!舞台は長崎そして異国へ!
父・広吉を襲った恐ろしい魔の手から逃れるため、 柳橋から姿を消した娘船頭の桜子と、棒術の師匠・小龍太。 異国船「上海丸」に乗り込んだ二人は、経験したことの ない食べ物、風物に出合い目を見開かれる。 そんな中、長崎の出島に招かれ、オランダ人の絵描きコウレル がのこした「二枚の絵」を目にした桜子は、強い衝撃を受ける。 果たして、そこにあった不思議な縁とは?

麻見和史『凍結事案捜査班 時の呪縛』

警察小説界注目の実力派作家・麻見和史氏が文春文庫初登場です!
主人公の藤木は50代の男性刑事。もともとはやり手の刑事でしたが、妻をガンで亡くしたことで仕事への意欲を失い、コールドケース(未解決事件)を扱う「警視庁捜査一課 特命捜査対策室支援係」に配属されます。そこで、30年前に立川でおきた小学4年生遺体遺棄事件の再捜査が命じられます。子供を失った父親に話を聞くことで、藤木が失っていた「刑事の矜持」は再び動き出すのか? 「曲者」が揃った「支援係」の面々とたどり着いた事件の真相とは!?

風野真知雄『耳袋秘帖 南町奉行と幽霊心中』

「南町奉行」シリーズ第七弾。
朝早く大川河口の鉄砲洲で、岸の小舟に発見された心中死体。美男美女の二人は、別々の事件で死んだはずだった。事件を洗い直してみると怪しいことばかり。次々に起こる怪異の行方は?

岡本さとる『父子船 仕立屋お竜』

4作目にして早く累計12万部の大ヒットとなりました『仕立屋お竜』シリーズ。表の顔は腕のいい職人、裏の顔は悪党を地獄へ案内する武芸の遣い手という「令和のニューヒロイン・お竜」の艶やかさと武芸の凄みが多くの読者の心をつかんでおります。今回はパートナーの井出勝之助がかつて肌を交わした女性と再会し、自分に子供がいることが告げられます。驚きつつも喜びを隠せない勝之助ですが、その裏には悪党どもの悪だくみが!。痛快×ジーンと胸打つ傑作時代小説の誕生です。

小杉健治『助太刀のあと 素浪人始末記(一)』

社会派推理、時代小説の旗手として絶大な人気を誇る著者の 時代小説、新シリーズが始動。
三大仇討ちの 【鍵屋の辻の決闘】の荒木又右衛門をモデルに。 仇討ちの助太刀をした男。 武士の誉れとして、ある藩に召し抱えられるが、 男は謎の死を遂げてしまう!? 果たしてその真相は? 父を殺された義弟が仇討ちの為、義理の兄に助太刀を依頼。 退身し、義弟とともに敵を討つ。 義弟は本懐を遂げるも死、助太刀で名が知れ渡った義兄は、 武士の鑑であると、ある藩に召し抱えられる。 数か月後、男は病死。 しかし、それは、男の暗殺を阻止すべく藩主の計画で、 彼は名を変え、藩の密偵として動き市井で暮らす。

加納朋子『二百十番館にようこそ』

就活に失敗し、オンラインゲーム三昧の「俺」。親に愛想を尽かされた末に送り込まれたのは、離島の薄汚れた建物だった。考えた末、下宿代目当てでニートたちを募って“共同生活”を送ることに。新しい仲間や穏やかな島民、猫たちと交流する中で、閉じた世界が少しずつ広がっていき……。日常ミステリの名手が贈る、爽やかな読み味の傑作長編。

青山文平『江戸染まぬ』

唯一無二の世界を描く、青山文平の時代短編。
リアル江戸から生まれた、傑作短編集!
村から出てきた俺たちは、江戸のどこにも引っかからねえ――人生を必死に泳ぐ男と女を鮮やかに描き出す唯一無二の味わい、傑作7編。

久坂部羊『善医の罪』

脳外科医・白石ルネは、意識不明で運ばれてきた男性を、家族の同意のもと延命治療を中止、尊厳死に導く。しかし3年後、ルネを嫌う麻酔医が、ルネは積極的に安楽死させたと病院に告発。身に覚えのないルネだが、やがてマスコミも巻き込む大問題に発展、ルネは逮捕、起訴されるが……医療×法廷サスペンスの新たな傑作誕生!
【現役医師による傑作小説!】 映画『終の信託』周防正行監督 推薦!
「司法は医療を追い詰める。尊厳死、安楽死、 誰が『死』を決めるのか?」 実際の事件を題材にした 医師、患者、家族のリアルな苦悩と葛藤 臨終を巡る、医療現場と司法の大きな乖離――。 治療の見込みがなくなった後、 現代日本で穏やかな死を迎えることはできるのか?担当編集者から一言

呉勝浩『おれたちの歌をうたえ』

直木賞候補作、遂に文庫化 !
「あんた、ゴミサトシって知ってるか?」  
元刑事の河辺のもとに、ある日かかってきた電話。その瞬間、封印していた記憶があふれ出す。真っ白な雪と、死体――。あの日、本当は何があったのか?   
友が遺した暗号に導かれ、40年前の事件を洗いはじめた河辺とチンピラの茂田はやがて、隠されてきた真実へとたどり着く。 『スワン』で日本推理作家協会賞、吉川英治文学新人賞を受賞。 『爆弾』でも話題の圧倒的実力を誇る著者が、 迸る想いで書き上げた大人のための大河ミステリー。

島田荘司『盲剣楼奇譚』

吉敷竹史復活!  20年振りの新作長篇登場。
加賀百万石から終戦直後の混乱期、そして現在へと続く謎の連鎖。 吉敷刑事が東大構内の博物館で見た美剣士の幽霊画。 その背後には驚くべき謎が隠されていた。 江戸時代から続く金沢の芸者置屋・盲剣楼で、終戦直後の昭和二十年九月に血腥い大量斬殺事件が発生した。軍人くずれの無頼の徒が楼を襲撃、出入り口も窓も封鎖されて密室状態となった中で乱暴狼藉の限りを尽くす五人の男たちを、一瞬にして斬り殺した謎の美剣士。それは盲剣楼の庭先の祠に祀られた伝説の剣客“盲剣さま”だったのか?七十余年を経て起きた誘拐事件をきっかけに、驚くべき真相が明かされる!?

麻生幾『観月 消された「第一容疑者」』

『外事警察』の麻生幾が緻密な取材を元に書き起こす、圧巻の警察小説!
今年も無事に「観月祭」を迎えられるはずだった。しかし、祭りの一週間前、突如として七海を襲った怪しい影。 その翌日には七海が幼いころからお世話になっているパン屋の奥さんが絞殺体で発見される。さらには、この事件と時を同じくして東京で発見された首なし死体の関連が取りざたされ……。
大分の城下町で善良な市民が殺された。必死に犯人を追う警察だったが、同時期に東京で起きた殺人との関連が指摘され事態は急変する

三木大雲『怪談和尚の京都怪奇譚 妖幻の間篇』

繰り返し見る夢の中、断崖から落ちそうな自分の右足首に女が縋(すが)り付いている。女の懇願も聞かずに蹴落としたところでいつも目が覚める。ある日、現実世界にもその女が現れて――(「見殺し」)。爆笑しながら追いかけて来る男、夫だけには見えない猫など、現役住職が書き下ろす、怖くてためになる怪談×説法、大人気シリーズ第6弾!

清原和博『薬物依存症の日々』

五年ぶりに会った長男は「大丈夫だよ」と笑ってくれた──。
覚醒剤取締法違反による衝撃の逮捕。 執行猶予満了を前に、清原は想像を絶する苦痛の中でもがき続けてきた。 自殺願望、うつ病との戦い、信頼できる主治医との出会い、 そして、家族との再会。 真っ暗な闇の中でもがき続けるかつてのスターは、 夏の甲子園に決勝戦を観戦に行きたいという願いを抱くが……。 「10年も薬物をやめていた人が再犯で逮捕されたと聞くと怖くなる」 「最後の1回だけ、と考えている自分がいる」 「この4年間、マンションのバルコニーから下を見て、 死にたいと思ったことは、一度や二度ではありません」 「元妻の亜希は、息子たちにぼくの悪口を言わなかった」 「負けたと認めること、怖いと認めること。 それはぼくにとってすごく重要なことでした」 2020年に刊行された単行本『薬物依存症』を改題して文庫化。 大宅壮一ノンフィクション賞受賞『嫌われた監督』の鈴木忠平による渾身の取材。 文庫化にあたり、解説に、清原氏の薬物依存症治療の主治医である 松本俊彦医師による「人はなぜ薬物依存症になるのか?」を掲載。

永井 路子『はじめは駄馬のごとく〈新装版〉 ナンバー2の人間学』

SNSで話題。累計15万部の伝説の名著が、緊急復刊!
『炎環』『雲と風と』『北条政子』『つわものの賦』……多くの歴史小説を著した著者が、歴史上はほとんど無名・英雄の陰に隠れながらも実力を持ったしたたかな仕事師、〈ナンバー2の男〉の生き方を描きます。 『鎌倉殿の13人』ですっかり有名になった北条義時は、永遠のナンバー2.根っからの権力・政治好きにもかかわらず、あえて表には立たず、したたかに、ナンバー2の生涯を全うした。 源義経。同じくナンバー2でありながら、組織のなかの自分の位置づけが出来ず。華やかなスタンドプレーを繰り広げ、ナンバー1が霞むなど数々の致命的失敗をおかした。 徳川秀忠。家康と三代家光の陰にかくれた秀忠こそが、徳川家の最大の功労者。大名の転封、改易、人員の配置転換など重要な施策を行い、幕府の基礎を固めた。メシよりイロより政治が好き。 他、平家政権の仕掛人「平時忠」、途中入社ゆえに栄光と挫折を味わった「明智光秀」など。 巻末の城山三郎氏との対談には、2024年大河ドラマ『光る君へ』で注目の関白・藤原道長も登場。「この世をば」と詠った彼はナンバー1志向と思いきや、意外にも……。 歴史好きはもちろんのこと、今を生きるビジネスパーソンも必読!
「組織論」本としても読める名エッセイです。

群ようこ『忘れながら生きる 群ようこの読書日記』

読んだ時間が楽しければ、それでいい。

群ようこはひと月に何冊買う? 毎月の本代は? 着物本からプロレス本まで、膨大な本に囲まれ、猫と暮らす、のほほん読書エッセイ。

今月もお読みいただきありがとうございました。
猛暑といえば、怪談。三木大雲和尚の怪談話は益々冴えわたり、背筋の凍る話ばかりです。怖すぎて眠れなくなるかもしれないので、ご注意ください。
では、お身体に気をつけて、来月もお楽しみに。


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