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『井の頭公園100年写真集』ハンディー版の楽屋裏 ③無料休憩所

 新しい資料によって、今まで疑問だったものが明らかになる訳ですが、まだ分からないものの一つに、昭和10年前後にできた、井の頭公園駅の近くにあった子供用プールの経営が誰だったのかがあります。

 当時の東京市の記録にもなく、当時の帝都電鉄ではないと現・京王電鉄の資料室は言っていますので、他の民間業者の可能性があると考えています。 そんなことを調べているうちに、1933年(昭和8年)から井の頭公園駅前にあった「無料休憩所」といわれるものが明らかになりました。

 「無料休憩所」の写真は、『鉄道趣味』という雑誌の1933年(昭和8年)9月号に掲載されていた写真で、線路わきに写っています。この建物は当時の帝都電鉄が井の頭公園駅開設の1933年(昭和8年)に井の頭公園の行楽客用に一般無料休憩所として新設したことが分かりました。当時の図面から10間(約18m)×6.5間(約12m)の広さであったようです。

 この『鉄道趣味』の写真が貴重なのは、休憩所とともに吉祥寺方面の鉄路が未完成であることが分かります。吉祥寺駅は翌年1年遅れで開設されたのですが、それは、吉祥寺駅直前に交差する水道道路(井の頭通り)に埋設されている水道管を保護するため、高架にしてまたぐ必要があり、その高架工事で1年遅れと言われています。

井の頭公園駅(無断転載禁止)

無料休憩所(出典:『鉄道趣味』1933年9月号)
(無断転載を固く禁じています)

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