HandiGap ハンディギャップ 序

2035年
目指せ東京パラリンピックのたれ幕。
車椅子テニスの18才のポニテ女性選手が練習。
それを見つめる8歳の亜美。
ボールがぽんぽんと来る。亜美の足元にボール。手を震わせてとろうとするが、あきらめる。
車椅子を回しながらスピードをのせて　亜美の方にやってくる。
ポニテ「大丈夫無理しないで、拾うから」
ポニテ「やってみたい？」
亜美「…」
いろいろ察して、去ろうとするポニテ。
ポニテ「好きなだけ見学してていいんだからね」
風が亜美の全身を覆っていたショールをとばす。ポニテ、亜美の義手義足を見て少し驚く
ポニテ「へ～すごいね。リハビリ中？」
コクっ　亜美。真っ赤になってうなずく亜美。
ポニテ「いつかやろうよ。」
とラケットをぐっと亜美にむけるポニテの選手。
ボールを亜美の手に渡す。
ますます真っ赤になる亜美。
ﾋﾟﾋﾟｯ　点滅するLED。わずかな機械音。
手に残されたボールを持ち、握る。
ポニテ「ほんとすごいなそれ、そんなに指も使えるんだ。かっこいいし」
困惑する亜美。コートにもどるポニテの女は振り返らずに言った。
ポニテ「あげるよ。たくさんあるから」
笑えないけど精一杯口を動かす亜美。
亜美「あ、ありがとう…」

ポニテの壮絶なサーブのスローモーションの合間に亜美の回想とここから未来が断片的に挿入されていく。
大地震で両手両足がビルの合間に挟まれ泣きながら切断されて救出されるシーン。
両手両足のない這う虫のような幼少期。
ある女性科学者が精密そうな義手と義足を持ってくる。
義手と義足を装着と戸惑うシーン。転ぶ、転ぶ、転ぶ。
天才女性科学者の指導。埋め込まれたAIの起動方法。
苦しいリハビリのシーン。わずかに動くようになる指先。
少しだけ自力で動かせるようになり、わずかに口元から笑み
ポニテにもらったボールを見つめる。・
ラケットを握る亜美。
中学のブレザーを着た亜美。
車椅子を弾き飛ばした亜美が伸び上がりサーブを打つシーンでシルエットになる。そしてタイトルと主題歌前奏

HandiGap　ハンディギャップ

主題歌　ハンディギャップ　歌ダ・カーポ

泣きたい時も絶対に泣くな
あの人もこの人も私を避けた
虫の様に地面を這っても
私には見える絶望と恐怖が
サービスエース！この両腕が裂けた
レシーブエース！壊れた青春
スマッシュエース！誰にも勝てはしない
Ah寒い冷たい鋼鉄だけは
寒い冷たい消滅だから　

いつかハンデがアドバンテージと
お医者さんと科学者が手足をくれた
思えばいつもひとりぼっちだった
厳しくてきついリハビリの日々が
サービスエース！この両足が散った
レシーブエース！寂しい世界よ
スマッシュエース！私は勝てはしない
Ah小さく小さく　踏み出す日まで
小さく小さく　踏み出す日まで

サービスエース！この右腕が裂けた
レシーブエース！壊れた青春
スマッシュエース！誰にも勝てはしない
Ah寒い冷たい鋼鉄だけは
寒い冷たい消滅だから