【映画】「ダンガル きっと、つよくなる」感想・レビュー・解説

この映画のポスターに、確か板垣恵介だったと思うんだけど、「予想をほぼ裏切らない展開!でもそれがいい」みたいなコメントがあって、それが、この映画をまさにピタリと言い当てているなぁ、と強く感じました。

内容に入ろうと思います。
インドの片田舎に住むマハヴィルは、かつてインドの全国代表にまでなったレスリングの選手だ。自身では果たせなかった、国際大会で金メダルを獲るという夢を自分の息子に託す―その夢を抱いて生きてきた。しかしマハヴィルの元に生まれる子供は皆女の子ばかり。四人目も女の子だったことで、マハヴィルはその夢を諦めた。
しかし、上の娘二人、ギータとバビータが、男の子との喧嘩で圧勝したのを見て、マハヴィルは彼女たちを鍛える決心をする。夢のために娘の人生を犠牲にするのか、村で笑い者になる、お金はどうするのか―そんな妻の心配をよそに、1年間だけ試しにやる、お前も一年心を葬ってくれ、と言われ、妻も引き下がるしかなかった。
朝5時に起こされ、男子でも音を上げるだろうトレーニングが始まった。あまりの辛さに不満を抱えるギータとバビータだったが、父は揺るがない。女がレスリングなんかやってと、村中から非難されたが、マハヴィルは動じなかった。
嫌々トレーニングをやらされていた二人だったが、あることをきっかけに父の愛情を理解し、自らトレーニングに精を出すようになる。やがて男子ばかりのレスリングの大会で次々優勝をかっさらうようになるのだが…。
というような話です。
なかなか面白かったです。本当に、予想外の展開というのは全然なく、きっとこうなっていくんだろうなと予想できるような王道のストーリーでしたけど、父の熱血と、娘たちの奮闘ぶり、そして立ちはだかる様々な障害など、ストーリー的に非常に良く出来ていたので、面白かったです。

まあそれはそうでしょう。映画の冒頭で、「この映画は、マハヴィルとギータとバビータの実話を脚色しており、他の登場人物はすべて架空です」という注意書きが出てきた。どこまで脚色されているのかは判断のしようがないけど、この映画のストーリー通りに物事が展開していったというわけではないのだろう。マハヴィルとギータとバビータは存在していて、彼らが国際大会で金メダルを獲った、というのは事実だし、そこに至る過程の描写にも実際に起こった出来事が多数盛り込まれているんだろうけど、それでもこの映画はフィクションだと思った方がいいんだろうな、と受け取りました。

フィクションだからこそ、これほど物語として面白い展開なのだろうな、と思います。恐らく事実はここまでドラマティックではなかったんだろうけど、ただ恐らくこの映画には、インド人たちが感じたドラマティックさが込められているんだろうなという気がしました。レスリングという競技においてインドに初めて金メダルをもたらしたギータという選手の存在感、しかもそれまでの国際大会で初戦敗退という結果を残せないでいた中(恐らくそれは事実なんだろうと思ったけど)、インド国内で行われた国際大会で優勝するという快挙を成し遂げたギータへの、インド人が感じたハイテンションが映画に込められているのではないかな、と思いました。

個人的に一番好きなシーンは、最後ギータが優勝した時に国歌が流れる場面です。あれは凄く良かったなぁ。

あともう一つ好きだったのは、決勝戦の前日、ギータが父親に翌日の試合の戦略を聞く場面。「戦略は一つしかない」と言った父親が、ギータに語った内容が、凄く良かったなと思います。

超分かりやすいどエンタメですけど、王道をひたすら突き詰める映画なので、誰が見ても面白く観れるんじゃないかなと思います。

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