駒場文学95号試し読み

5/29に開催される文学フリマ東京で販売する文芸同人誌、駒場文学95号の掲載作品の紹介と1ページの試し読みです。サークル員の紡いだ珠玉の小説、詩、評論たちが、あなたの琴線に触れますよう。
Twitterに投稿したもののまとめとなっていて、全3回の記事となる予定です。それではどうぞ。


鶴海子牛「海亀」

ぐずな彦兵衛は村の笑われ者。家族にも煙たがられる始末だ。 そんなある日、彼の村が襲撃される。彦兵衛は皆を救うため、隣村へと走る。実は彦兵衛、走ることだけはできるのだ…… 男の自我は、夢の泡のなかで摩滅する。破滅と幻想の物語。


新荘直大「がぶがぶ人間盛衰記」

中津かさねは、新種の人間だった。彼女曰く、がぶがぶ人間なる新たな人類なのだという……。 がぶがぶ人間の生と消滅の盛衰記。彼女と僕の、噛みごたえ十分、少し切ない短編小説。 第38回織田作之助青春賞最終候補作

宮崎水鏡「〈本当の顔〉と〈他者〉―仙田学「剥きあう」について」


日常から脱出しようとした夫婦の試みはなぜ挫折したのか。女装する夫とその妻を描いた仙田学の短編「剥きあう」を〈本当の顔〉と〈他者〉という観点から読み解いた論考。


小径章「飴細工のおどり」


「あなた」に惹かれていく「わたし」の世界を、自在に踊りくねる飴細工のような文体で描く。「わたし」をめぐる身体のことばが、日常を不思議の国(ワンダー・ランド)に変貌させる、濃密で読みの愉しみに満ちた一作。


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