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【文活12月号ライナーノーツ】ささいな笹「none」

この記事は、文活マガジンをご購読している方への特典としてご用意したライナーノーツ(作品解説)です。ご購読されていない方にも一部公開しています。ぜひ作品をお読みになってから、当記事をおたのしみくださいませ。


 出勤したら、卓上カレンダーの今日の日付のところに、「湯気がぽわりと立ったコーヒーカップの絵」を書く日がある。細字の黒の油性ペンで、いそいそと三秒で書く。カレンダーには、不揃いの手書きのコーヒーカップマークが数個。このマークは、早起きをしてハンドドリップをしたコーヒーを、水筒に入れて職場に持って来れたことを意味する。コーヒーは美味い。どんなおしゃれなカフェで飲むそれよりも、仕事の合間に飲むこれが一番美味いとすら思う。
 だけど、冬が深まるとおふとんの引力は強くなるので、来年のカレンダーには書けないかもしれない。

☕️☕️☕️  

 「ノベルメディア文活」の運営 なみきさんにお呼びいただき、このたび十二月のテーマ「つづく」に寄せて小説を書かせていただきました。
そして、それに加え、ライナーノーツも任せていただきました。光栄すぎて、お誘いの依頼文を何度も何度も読み返しました。うれしいです。ありがとうございます。わー、たのしかった!だけど、緊張した!
 僭越ながら、ひょこっとお話しさせてください。

   ☕️☕️🍨

自己紹介

 ささいな笹と申します。
「ささいな」は形容詞、「笹」は名詞。
さささん、笹さん、たまにささやんと呼ばれています。サヤンとか。
舌噛む。

普段は事務の仕事をしています。
note歴は4年目。
趣味は旅行、散歩、食品売場巡り、食べること。
好きな言葉は「47都道府県」「食べ放題」「ご当地限定」です。
noteでは心の赴くままに、日記やエッセイ、小説などをわいわいと書いています。
ど文系。
最近、マリオテニスが上手になりました。ヘイホーが得意。

私と小説と寄稿と

 noteで初めて小説を書いたのは、去年の秋口のことでした。するするーっと、リボンがほどけるぐらいになめらかに言葉が出てきて、お話が完成しました。気持ちよかった。ああ、小説を書くのってたのしいなあ、書けるかも?!とすら思うほどに。だけど、それは最初の一度だけで、そのあとは難しかったです。何時間向き合っても、何度書いて消しても、他の誰でもなく自分が満足いかないのです。
 テニスで例えて言うと、「自分の文章」と「自分の心」のラリーはいつまでも続くのに、なかなか「文章」のスマッシュが「心」に決まらないのです。ばちこーん!と心に加点される感覚を知ってしまったがゆえに、ラリーが永遠に終わらないのはしんどいことです。
 泥試合が続き、最近では「文章」がコートに来ない日が続いていました。そうすると「心」の方は、いそいそとマリオテニスのコートの方に出向いてしまうのです。(まあ、それはそれで悪いことではないのだろうけど。)

 そんな中、寄稿のお話をいただきました。そのようなお話をいただくのは初めてでした。うれしかった。めちゃうれしかった。誰かが私の書いた過去のものを読んで、「この人なら」と思ってくれたんだ。うわあ。だけど、最近書いていなかったから、書けるかな。ストーリーを練るうちに、ずぶずぶと不安にもなりました。また「文章」と「心」のラリーはどろどろと長引きそうです。
 だけど、考えてみると「文章」を相手にすると、いつも「心」は負け知らずです。早起きのドリップコーヒーも、お風呂の後のストレッチも、いつも「心」の大敗北なのにさ、私はいつも正々堂々と「文章」に挑んでる。良いものを作りたい。満足のいくものを書いてみたい。憧れの人のように心にのこるものや、あの人のようにおもしろいものを。よっしゃ、それなら「文章」とともにがんばろう。「心」が強いから、「文章」も挑み甲斐があるんじゃないか。
 こうして、皆さんのご期待に添えるかは未知ですが、物語作りに向き合う決心をしました。

寄稿作品「none」について

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