見出し画像

【文活3月号ライナーノーツ】広瀬ケン「吉祥寺のキャバクラで出会った女の子と桜桃忌に行った話」の、裏話。

この記事は、文活マガジンをご購読している方への特典としてご用意したライナーノーツ(作品解説)です。ご購読されていない方にも一部公開しています。ぜひ作品をお読みになってから、当記事をおたのしみくださいませ。

『お別れの前日』というテーマを見た瞬間、真っ先に浮かんだのは「どうやってお断りしようか?」でした。

締切が近い(実際にテーマがなんであれ締切は物理的に近かったのです)、ワクチン接種が近い(実際に3回目を摂取して寝込んで週末を2日間つぶしました)、それか、もう正直に、「『お別れの前日』だなんて、そんなどうやっても、どう転んでも悲しい話になるような小説は書きたくありません」と返信しようと考えました。

その気持が、小説の一行目にあらわれたのは、事実です。昨年末から2月上旬まで、ずっとnote創作大賞で「悲しい話」を書いていたので、もう小説は当面いいや、小説から離れようと考えていました。とくに「悲しい話」はもうたくさんだと思っていました。

2月に某ランドに行って、ひととおり現実逃避をしてから帰ってくると、今回の執筆依頼のメールが届いていました。その段階ではまだテーマがわからなくて、2月が「バレンタインに関すること」でしたので、3月はきっと「ホワイトデーで経験した恥ずかしい話」だと勝手に妄想して(ああそれだったらいっぱい浮かぶわ)、喜び勇んでお引き受けしたのですが、テーマがなんと、


『お別れの前日』

ここから先は

1,366字
このマガジンを登録いただくと、月にいちど、メールとnoteで文芸誌がとどきます。

noteの小説家たちで、毎月小説を持ち寄ってつくる文芸誌です。生活のなかの一幕を小説にして、おとどけします。▼価格は390円。コーヒー1杯…

記事を読んでいただいてありがとうございます!読者と一緒に育てるマガジン「みんなの#文活」を運営中です。よかったら小説の感想やあなたの作品を#文活で投稿してくださいね。