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【文活1月号ライナーノーツ】シェアハウス・comma 白洲 彩絢 編 / 左頬にほくろ

この記事は、文活マガジンをご購読している方への特典としてご用意したライナーノーツ(作品解説)です。ご購読されていない方にも一部公開しています。ぜひ作品をお読みになってから、当記事をおたのしみくださいませ。


こんにちは。

寒くて寒くて週5で鍋、左頬にほくろです。

一周年を迎えパワーアップしリニューアルした文活、皆様にお楽しみいただけていますでしょうか。

毎月定められたテーマのもと様々な角度から生み出された作品をお届けしていた従来のスタイルに加え、今月より新企画として『リレー小説』をメンバーで8ヶ月かけてじっくりと育て、紡ぐ運びとなりました。

作秋に刊行した文芸誌の群像劇『猫が消えた日』の中でも登場した【とびが丘】という或る街に佇むシェアハウス・comma(コンマ)。前回とびが丘の設定を担当したご縁から、今回もこのシェアハウスについてわたくし・左頬にほくろがめくるめく妄想で事前構想しております。そのまま第1話も執筆致しましたので、今回はその裏側についてお話させていただければと。

Ι

究極のプライベート空間であるはずの〈家〉に赤の他人が複数名存在する環境〈シェアハウス〉って、いったいどんな感じなんだろう。

生まれつき神経質かつ超絶インドア派のわたしからすれば絶対に無理だろうな・・・と、自らでは叶えられない別世界を疑似体験する。それが今構想・執筆を経て最もワクワクしている部分です。

大好きなテレビドラマも、映画も、そして小説も、エンタメにおける大きな面白みのひとつがこの「疑似体験」ではないでしょうか。自分の人生では見られないだろう景色、出会えそうもない人、その架空世界に没入しながら不思議とまるで自分に起こった出来事かのように感情が動く瞬間がわたしは大好きで。

1話で祖母が経営するシェアハウスに越してくる女の子・白洲彩絢を大学受験に失敗し未来に絶望した19歳無職=いわゆる【何も持たざる者】と定義したことには、空っぽで無垢な紗絢の目を通して新しい場所に足を踏み入れてゆく彼女の世界をフラットに見てもらえれば、というわたしの個人的な願いを少なからず込めています。

19歳の頃、わたしは彼女と同じフリーターでした。

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