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【短編小説】ほしがり 「……私たちはね、”ほしがり”なのだよ」 暗い夜に、あなたの深い声が響きました。 それと同時に、幼いわたしは両目をぱっちりとひらいて、夜の森のたった一つの焚火の前へ、すなわちあなたの前へと転がり出ていたのでした。 「……ええと」 「君は食べたくて出てきたんだろう? それを」 あなたの言っていることがよく分からないまま、わたしはただ焚火とあなたを交互に見つめていました。 目の前の焚火の傍では、柔らかそうな兎の肉が、火にあぶられてじゅうじゅうと