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#連載小説
小説「ふたりだけの家」1(全13話)
ここ、小児科だっけ。
受付を終え、身を乗せている車いすを回れ右させて病院の待合室を眺めた私は、一瞬本気でそう疑った。
待合室はほぼ満席だった。二歳から五歳くらいの小さな子どもや、まだ生後何か月、といった感じの赤ちゃんの姿が目立った。その子たちを連れてきている母親たちも、二十代半ばと思しき人たちばかりだ。受付すぐ目の前の席にも、女の子を膝に乗せた若い母親が順番を待っていた。女の子はしきりに手や
小説「ふたりだけの家」 まえがき
昨年、noteをはじめてまもなく、「川べりからふたりは」という作品を発表させていただきました。
孤独をみずからに強いて生きている車いすの青年、涼と、ある秘密を抱えた健常者の女性、奈美の物語です。全17話という長い作品でしたが、幸い多くの方々に読んでいただきました。それからもぽつぽつと読まれ続け、最近も一気読みしてくださり、感想文まで書いてくださった方もおられ、感謝の涙を流したものでした。
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