【能登半島豪雨1週間】孤立集落解消、停電・断水続く…寺社への影響は
※文化時報2024年10月4日号の掲載記事です。
石川県奥能登地域を襲った記録的豪雨を巡り、馳浩知事は9月26日の災害対策本部員会議で、被災市町へ応援職員を順次派遣し、早期に100人規模の体制を整えたいとの意向を示した。合わせて「一人でも多くのボランティアにご協力いただきたい」と、さらなる支援の必要性を訴えた。翌27日には首相官邸を訪れ、岸田文雄首相に激甚災害の早期指定をはじめ、能登半島地震と一体的な支援を要望した。
28日で豪雨から1週間となり、最大115カ所あった孤立集落は解消したものの、同日現在も輪島市、珠洲市、能登町で停電や断水が続いた。死者は13人、行方不明者は1人となった。
輪島市内では、複数の応急仮設住宅が床上浸水などの被害を受けた。公費で支給された生活必需品が使用不能となり、2度目は公費で支援を受けられない行政ルールがあることを不安視する声が上がっていたが、県は29日に生活家電3点の再支給を行うと発表した。
県は日本赤十字社県支部、県共同募金会と連携し、豪雨災害義援金を受け付けている。振込先は北國銀行県庁支店「石川県令和6年能登豪雨災害義援金 普通預金30433」ほか。
寺社解体と復興遅れ
輪島市内では物資の分配やボランティアの支援が進んでおらず、今回の豪雨が寺社の公費解体にも影響することが予想され、復興の遅れが懸念されている。
同市門前町にある曹洞宗興禅寺の市堀玉宗住職によると、元日の地震で全壊した同市鳳至町の兼務寺院・永福寺では、裏山の土砂が庫裏の横まで押し寄せ、周辺の民家5軒がつぶされた。10月に寺の公費解体を予定していたが、豪雨被害の復旧作業を優先するため延期されたという。
市堀住職は元日の地震発生以降「負けてたまるか‼」の墨書を張り出し、住民を鼓舞してきた。「僧侶として、住民への励ましを続けていく。ご縁の中で助け合い、学び合い、復興を成し遂げていきたい」と力を込めた。
珠洲市三崎町の須須(すず)神社(猿女貞信宮司)がある寺家地区は鉄橋などが崩落し、9月25日まで断水と通行止めが続いた。多田千鶴権禰宜(ごんねぎ)によると、周辺では地震で傾いていた家屋が豪雨で倒壊する被害が目立ったという。「境内の集会所に避難してきた人々は口々に不安を訴えていた。仮設住宅に落ち着き『これから頑張ろう』というタイミングでの被害で、住民は心が折れかけている」と話した。
一方、元日の被災経験が氏子ら地域住民の協力体制の強化につながったとし、「今回の豪雨でも、地域は一体となり助け合った。諦めず励まし合って復興に向かいたい」と前を向いた。
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