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責任逃れの奇妙な論法

※文化時報2022年7月1日号に掲載された社説です

 東京電力福島第一原子力発電所事故で、避難者への賠償責任が国に「ない」ことが、6月17日の最高裁判決で確定した。宗教者の中には、原告の避難者に寄り添い、訴訟を支援してきた人もいる。今回の司法判断にどう向き合うべきか。宗教界全体で、改めて考えなければなるまい。

 翌18日付朝日新聞によれば、避難者らが国を相手取った訴訟は、地裁判決19件中9件、高裁判決4件中3件で、国に賠償責任が「ある」とされた。最高裁判決は、結論が分かれた高裁判決4件に対する統一判断だった。

 東電には、すでに約14億円の賠償を命じる判決が確定している。つまり避難者に対して賠償するのは、国ではなく東電、ということになる。

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