見出し画像

宗教者は認知症社会に対応を

※文化時報2023年7月7日号掲載の社説「認知症社会に対応を」の全文です。

 「私が医者だったことを、まず忘れてください。私は過去とは別の人間になってしまったのです」

 湘南長寿園病院(神奈川県藤沢市)のフレディ松川院長による『フレディの遺言』(朝日新聞出版)は、もし自分が認知症になったら家族や介護者にこう対応してほしいという願いを、絵本仕立てでつづっている。

 フィクションではあるが、認知症の人の感じ方やどのような配慮を必要としているのかが分かる内容となっている。一読すれば、「認知症になったらおしまい」という見方は偏見に過ぎないことに気付かされるだろう。

 認知症基本法が6月14日の参議院本会議で可決・成立した。すったもんだしていた印象の強い今年の通常国会において、最大の成果はこの法律が議員立法で制定されたことだったと言っても過言ではない。

ここから先は

1,246字

¥ 300

サポートをいただければ、より充実した新聞記事をお届けできます。よろしくお願いいたします<m(__)m>