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戦後75年 本願寺派が千鳥ヶ淵法要

※文化時報2020年9月26日号の掲載記事を編集しました。

 浄土真宗本願寺派は18日、国立千鳥ヶ淵戦没者墓苑(東京都千代田区)で第40回千鳥ヶ淵全戦没者追悼法要を営んだ。今年は戦後75年と法要40回目の節目だったが、新型コロナウイルスの感染拡大に配慮し、関係者ら約50人のみで行った。安永雄玄築地本願寺宗務長を導師に正信念仏偈を勤め、平和への願いを新たにした。

 法要は、1981年に始まり、毎年9月18日に開かれている。例年は全国から千人以上が訪れるが、今年はコロナ禍で規模を縮小。会場と教区を結んでライブ配信するオンライン参拝を行い、別院などの様子も中継した。

 法要に先立ち、宗門関係学校の中高生2人が作文を朗読。敬愛中学校(北九州市門司区)3年の安達千紗さんは「あなたが大切だ」という言葉の大切さをつづり、相愛高校(大阪市中央区)1年の中馬朋香さんは、祖母の戦争体験を通して命の尊さを訴えた。

 僧侶の入場時には「平和の鐘」が打ち鳴らされた。同時刻に本山本願寺(西本願寺、京都市下京区)をはじめ、全国の本願寺派寺院が梵鐘などを突いて恒久平和を願った。

千鳥ヶ淵

平和の鐘を打ち鳴らす参列者

 石上智康総長は「平和宣言」で、感染者に対する差別などに触れた。大谷光淳門主の言葉を引きながら、人間が縁起の中で生かされている事実を再確認し、「心を通い合わせ、痛みを分け合い、協力し合って生きていく社会」の実現に向けて共に努力することを呼び掛けた。

 参拝した竹田空尊総務は「戦後75年が経過し、戦争を体験した人が減る中で、非戦平和の願いを新たにした。コロナ禍での経験を今後に生かしたい」と話した。

 本山本願寺では、武田昭英執行長、光岡理學総務をはじめ、料理研究家の杉本節子氏や井筒法衣店(京都市下京区)の今岡規代代表取締役社長ら有縁の人々が集い、5分間にわたって鐘を響かせた。

本願寺派展望 本山で平和の鐘

本山本願寺境内の梵鐘を突く武田執行長(左から2人目)

 武田執行長は広島出身で、1歳の時に原子爆弾が投下された。自身は爆風で負傷し、放射線による後遺症で亡くなった親戚もいたという。世界中で軍拡競争が進む現状を危惧し、「人間は、縁があればどのような振る舞いもする愚かな存在。戦争を知らない世代が大半を占める今、『もう二度と戦争をしてはならない』と改めて呼び掛けたい」と力を込めた。

 小中学校の4年間を広島市で過ごしたという今岡社長は「友人の祖母から聞いた被爆体験や学校での平和教育で、戦争の悲惨さを常に身近に感じていた」と振り返る。「原爆投下日や終戦の日を知らない人も多く、戦争の記憶が風化していることに恐ろしさを感じる」と危機感をにじませた。

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