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〈30〉人が集まる場所づくり

※文化時報2022年4月12号の掲載記事です。

 聞法会館「安住荘」(大阪市平野区)を本紙で何度か取り上げていただいている。法話会は従来通り続けているが、その他に町会の会合やボランティア団体のミーティングに使ってもらうこともある。

 人間とは不思議なもので、自分たちが集まる場所はきれいにしようとする。

 先日、近隣の人たちが集まって庭の手入れをしてくれた。10人以上で4時間ばかり汗を流してくれた。荒れ放題だった庭がスッキリと気持ち良くなった。弁当持参で来てくれたので文字通り「手弁当」である。4月になったら1人でボチボチ片付けていこうと思っていたところ、庭だけでなく広間も台所もきれいに片付けてくれた。管理人である筆者はただ「ありがとうございます」と頭を下げているだけであった。

 地域の皆さんに場所を無料で提供するというのは大成功だったと思う。それぞれの皆さんが「自分の居場所」と認識してくれたようだから。あとはこの場所で「酒宴」を一席設ければ、近隣の皆さんとの距離もグッと縮まると思う。

 「安住荘」は福祉仏教の実践場所として運営しようと考えている。地域のボランティア団体だけでなく、看護師などの専門職にも活用してもらいたいと思っている。「認知症カフェ」は国が推奨しているので、地域包括支援センターなどの協力を得やすい。お寺の人だけで開催することも可能だが、協力してくれる看護師が1人いるだけでインパクトが大きくなる。

 10人くらい集まれるスペースで、月1回「認知症カフェ」の看板を掲げれば良い。訪れた人にコーヒーやジュ―スなどを提供し、おしゃべりをするだけ。地域包括支援センターにチラシを持っていけば適度に案内もしてくれる。

 とにかく人が集まれる場所を提供して、地域の福祉機関にお知らせしておけば自然に流れができていく。福祉仏教の第一歩だと考えている。

 三浦紀夫(みうら・のりお)1965年生まれ。大阪府貝塚市出身。高校卒業後、一般企業を経て百貨店の仏事相談コーナーで10年間勤務。2009年に得度し、11年からビハーラ21理事・事務局長。21年には一般財団法人安住荘の代表理事に就任した。上智大学グリーフケア研究所、花園大学文学部仏教学科で非常勤講師を務めている。真宗大谷派瑞興寺(大阪市平野区)衆徒。

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