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「くつはきの弥陀」出開帳 近松門左衛門300回忌で里帰り

※文化時報2023年12月1日号の掲載記事です。

 木沓(きぐつ)を履いた阿弥陀如来立像「くつはきの阿弥陀如来」を所蔵する浄土宗金龍院(静永秀明住職、滋賀県甲賀市)は11月22日、江戸時代に浄瑠璃や歌舞伎の脚本を手掛けた近松門左衛門(1653~1725)が生まれ育ったとされる福井県鯖江市で、303年ぶりの出開帳=用語解説=を行った。近松の300回忌に合わせた〝里帰り〟で、三好修一郎福井大学名誉教授らによるパネルディスカッションも行った。(大橋学修)

 「くつはきの阿弥陀如来」は、像高約73センチ、元禄年間の制作。越前の国主のお家騒動を描いた『傾城仏の原(けいせいほとけのはら)』の第3幕で登場する。勧進のため月窓寺(福井県坂井市)から京都へ出開帳する際に、勧進の成果を高めるため、初代の坂田藤十郎が京都の三条河原で『傾城仏の原』を演じたと考えられている。2013(平成25)年に三好名誉教授ら専門家が行った調査で、『傾城仏の原』に登場する月窓寺の本尊だったと考えられるようになった。

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