暮らしの中へ 看護も仏教も
※文化時報2022年1月14日号の掲載記事を再構成しました。
医療と仏教の連携を目指す看仏連携研究会(河野秀一代表)は12月18日、龍谷大学大阪梅田キャンパス(大阪市北区)で、大阪地区の第2回研修会を開いた。オンラインを併用し、看護師と僧侶ら計約20人が参加。語り合いやパネルディスカッションを通じて互いの理解を深めた。
研究会は、臨済宗妙心寺派僧侶の河野代表が中心となって2020年に設立。大阪と鹿児島で研修会を行ってきたほか、都道府県看護協会主催の看護師向け研修会にも協力している。
この日、冒頭で講演した河野代表は、病院死から在宅死へという変化が、地域や施設で看取りと弔いを切れ目なく行うことにつながっていると強調。「家族・遺族ケアの重要性が増し、僧侶と医療専門職の協働連携が必要になった」と述べた。
看仏連携について講演する河野代表
グリーフケアに僧侶協力を
続いて「合同カンファレンス」が行われた。鍋島直樹龍谷大学教授をファシリテーターに、看護師と僧侶らがグループに分かれ、「遺族に対する死別ケア・グリーフケア」のテーマで語り合った。
ある看護師は、遺族同士が悲しみを分かち合う遺族会について、「来られる人は、ある程度心の整理ができている」と指摘。「大切な家族が亡くなったのは病院のせいだ、と思っている人にこそ向き合っていかなければならない」と語り、僧侶が訪問や傾聴を担うことに期待感を示した。
別の看護師は、患者の死後に医療チームが振り返りを行う「デスカンファレンス」について「医療者の癒やしの場にはなっているが、患者・家族への支えの提供までなかなか発展しない」と課題を挙げた。そうした中、寺院が地域の「安全地帯」として、「いつ訪ねても、何でも聴いてくださる癒やしの場になれば、家族は救われる」と語った。
合同カンファレンスでグリーフケアなどについて語り合う看護師と僧侶ら
独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)大阪病院の副看護部長、村上博美さん(50)は「急性期病院では看護師に時間がなく、心に寄り添うことがなかなかできない。専門性を持った僧侶が一緒に、悩んでいる患者に寄り添ってもらえれば」と話した。
大阪府看護協会の高橋弘枝会長はあいさつで「看護も仏教と同じように、暮らしの中へ届けようとしている。世界に誇れる日本の仏教と看護を意識して行動すれば、看仏連携を伝えていけるのではないか」と語った。
研修会の後半にはパネルディスカッション「地域における僧侶と看護師の役割と連携・意思決定支援」が行われた。僧侶2人と看護師が登壇し、それぞれの取り組みや、看仏連携への期待などについて語り合った。発言要旨は次の通り。
仏教医療を現代社会に
臨済宗妙心寺派退蔵院副住職 松山大耕氏
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