【能登半島地震】個人墓石に補助金 穴水町が独自の復興策
※文化時報2024年9月10日号の掲載記事です。写真は1月に撮影した穴水町の墓地。
能登半島地震で甚大な被害を受けた石川県穴水町は8月28日、地震で倒壊した個人の墓石の復旧や新規建立にかかる経費の2分の1を、世帯当たり上限10万円補助することを明らかにした。同町独自の施策で、全国的にも例がないという。
墓地の復興については、県が「地域コミュニティー再建事業」の一環として「共同墓地復旧支援事業」を打ち出しているが、集落共有墓地の通路など共用部に限ったもので、個人所有の墓石については補助の対象外だった。穴水町の施策では、個人の墓であれば寺院の境内にあるものでも補助の対象になる。町環境安全課は、倒壊した墓石の修復や移転などの費用にしてもらいたい考え。
財源は財政調整基金や災害対策基金などを充てる。災害に関連する予算を新たに約9億円増加し、本年度はそのうち8千万円を墓石復旧に充てる。3日開会の町議会定例会に、それらを盛り込んだ本年度一般会計補正予算案を提出。20日に行われる採決で可決されれば詳細な要綱などを作成し、住民に広報する予定という。
同町で傾聴活動を行う高野山真言宗僧侶の北原密蓮さんは「被災者にとってはまず生活再建が大事で、お墓の復旧は申し訳ないが最後という認識。それでももし10万円でも補助があるなら、優先順位が変わってくることはあるかもしれない」と話している。
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