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【能登半島地震】孤立防止へ傾聴者募集 僧俗・宗教不問、仮設住宅で

※文化時報2024年6月18日号の掲載記事です。写真は震災支援を続ける会提供。

 浄土真宗本願寺派本光寺(石川県小松市)の八幡真衣副住職が代表を務める一般社団法人えんまんと、同派大圓寺(堺市美原区)の石﨑博敍(ひろのぶ)住職が代表幹事を務める震災支援を続ける会が、能登半島地震の仮設住宅で活動する傾聴ボランティアの募集を始めた。僧侶や仏教徒に限ることなく、支援の心を持つ人を幅広く集める。(大橋学修)

 石川県輪島市門前町の応急仮設住宅に暮らす人々と語り合う「おしゃべりサロン」を開くのが目的。仮設住宅に暮らす人々は孤立が懸念されており、地震発生直後から被災地支援に取り組む両団体が、協力して傾聴に乗り出す。

 構想では、2、3人以上でチームを組み、週2、3回、現地へ送り出す。石川県小松市にあるえんまんの拠点に宿泊し、輪島市門前町に通う。1泊2日の場合、1日目は拠点で宿泊して、翌朝に出発。午後3時ごろまで現地で活動し、6時ごろに小松市に戻る。2泊3日の場合は、門前町の宿舎に泊まる。ボランティアがそろい次第、派遣を開始する。

 現地では、お茶を飲みながら住民の話に耳を傾けるほか、それぞれの居宅を訪問する見守り活動も行う。ハンドマッサージなど、特技を生かした催しをしてもらうことも考えている。

 小松市までの交通費や滞在中の食費は自己負担してもらうが、えんまんと震災支援を続ける会が設ける合同会計から補助金として1人1万円を支給する。

 えんまんの八幡代表は「仮設住宅がなくなるまで続けたいが、当面は資金が尽きるまで行うことになる。活動に賛同してくださる方からの寄付を得られれば、さらに続けられる」と話した。

不足する支援の担い手

 「もう手が回らない」。被災した人々でつくる地元の支援団体が、八幡代表に向けて漏らした言葉だ。

 5月20日、輪島市門前町の仮設住宅で暮らす70代女性が孤独死しているのを、警察などが見つけた。見守り活動を行うにも、地元の人だけでは対応しきれない状況だという。

石川県能登町の藤波運動公園内に設けられた仮設住宅団地。手前に写っているのが生活用品セット(震災支援を続ける会提供)

 えんまんでは、地震発生翌日の1月2日から、輪島市内の孤立集落に支援物資を届ける活動を開始。これまで毎日のように同市内の避難所などに通い続けてきた。そうした活動から、地元ニーズを知るようになり、サロン活動や居宅訪問を行うことを決めた。

 震災支援を続ける会は、仮設住宅に「生活用品セット」を届けている。プラスチックの衣装ケースに、茶碗(ちゃわん)や皿など25品目を家族4人分詰め、613組を石川県能登町に預けた。えんまんと合同で炊き出しを行うなど協働の体制をつくっていることや、今後は能登町内の仮設住宅での傾聴活動を模索していたことも、今回の活動につながった。

 石﨑代表幹事は「仮設住宅は、廃校の跡地など利便性のよくない場所にあるため、買い物でさえ困難。現地では、復興住宅が建設されないのではないかという不安も広がっている。私たちにできることをしたい」と語った。

 傾聴ボランティアの問い合わせは、えんまんの八幡代表(090―1837―4198)、震災支援を続ける会の石﨑代表幹事(090―1586―8970)へ。

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