見出し画像

ケアし合う 語りの場

※文化時報2022年4月5日号の掲載記事です。

 障害者作業所を併設した聞法道場、一般財団法人「安住荘」(三浦紀夫代表理事、大阪市平野区)は3月23日、新型コロナウイルス感染拡大で疲弊する医療・介護従事者を応援しようと「癒いやしと語りの場」を開始した。これまでの定例聞法会などに加え、4月からは介護職向け研修会や認知症カフェも始動。「地域共生とグリーフケアの聞法会館」として、地域の人々が集いケアし合う環境づくりを進める。(編集委員 泉英明)

 「癒しと語りの場」は、看護師の宮川栄美子氏を講師に、毎月ワークショップを行う。宮川氏は一般社団法人「Foster Compassion.Lab」の代表理事として、献身的に努力する医療者らが徒労感や虚脱感に襲われる「燃え尽き症候群」(バーンアウト)の予防や、現場復帰の手助けをしている。

 初回はオンラインも含め、グリーフケアを志す人ら10人が参加。相手の話を3分間傾聴する「マインドフルネストーキング」や、設定した「問い」について互いが話し合う研修などを体験した。

 大阪府富田林市から訪れた谷口孝さん(65)は「専門家の指導もあってスムーズだった。今後も参加し、学びを深めたい」と語った。

住民集まる場づくり

 安住荘は、もともと真宗大谷派の篤信の門徒が開いた聞法道場で、現在は仏教を基軸とした社会福祉活動を展開するNPO法人「ビハーラ21」(杉野恵代表理事、大阪市平野区)が運営を継承している。1階に聞法道場、2階に障害者作業所を有し、毎月の聞法会「安住講」などを続けている。

 3月には、障害のある子やひきこもりの子が親の世話を受けられなくなる「親なきあと」の問題に対処しようと、「お寺と教会の親なきあと相談室 大阪市あかんのん安住荘支部」を開設した。

 4月からは安住講に加え、ハラスメント防止や個人情報保護などの実務に関する個別テーマについて介護職が学ぶ研修会や、毎月第4土曜の認知症カフェなど、定例行事も始まる。先行した「癒しと語りの場」では、三浦代表理事が、「初めて参加した時の『居心地の悪さ』を忘れず、訪れた人に声を掛けて接してほしい」と参加者らに呼び掛けた。「地域の人が集ってケアし合う」という方針の下、全ての行事が参加者による「対人ケア」の現場となることを想定してのことだという。

 この日の午前中には、地域の高齢男性が集うボランティア団体「男組」が初めて訪問。安住荘を拠点として活動する構想が進んだ。まずは草木の覆い茂った中庭を、2階の障害者作業所の人たちも交えて整備し、皆が楽しめるバーベキューの開催を目標とする。

 三浦代表理事は「いろんな意味で今日がキックオフとなった。何か話を聴いてほしい人たちにも来てほしい」と語った。

【サポートのお願い✨】
 いつも記事をお読みいただき、ありがとうございます。

 私たちは宗教専門紙「文化時報」を週2回発行する新聞社です。なるべく多くの方々に記事を読んでもらえるよう、どんどんnoteにアップしていきたいと考えています。

 新聞には「十取材して一書く」という金言があります。いかに良質な情報を多く集められるかで、記事の良しあしが決まる、という意味です。コストがそれなりにかかるのです。

 しかし、「インターネットの記事は無料だ」という風習が根付いた結果、手間暇をかけない質の悪い記事やフェイクニュースがはびこっている、という悲しい実態があります。

 無理のない範囲で結構です。サポートしていただけないでしょうか。いただければいただいた分、良質な記事をお届けいたします。

 よろしくお願いいたします。



サポートをいただければ、より充実した新聞記事をお届けできます。よろしくお願いいたします<m(__)m>