Hempel Award 2023 金賞&メディア賞 ジョ ホウショウ
ー金賞とメディア賞の受賞おめでとうございます! 応募総数710件、世界各国から集まったファイナリスト28名の中での受賞です。
2つの賞を受賞できたことは、私にとって大きな喜びです。BFGUの先生方の指導とアドバイスなしには叶わなかったことだと思うので、先生方に本当に感謝しています。
ー今回、ヘンペルアワードに応募した理由を教えてください。
大学時代から、ヘンペルアワードのことは知っていました。今年で31回目という歴史のあるコンテストで、中国の著名なデザイナーをたくさん輩出しています。大学時代にも応募したことがありましたが、落選してしまいました。今年、国際交流センターからメールで案内が届き、もう一度チャレンジしてみたいと思って応募しました。ずっと夢見ていたので、今回の入選は本当に嬉しいことでした。
ー大学時代は中国で勉強していましたか?
中国の北京服装学院でファッションデザインを勉強しました。BFGUの教育レベルはアジアで非常に評判が高く、ここで学ぶことで成長できると思い、日本に留学しました。
ージョさんは、いまBFGUのファッションデザインコースの2年生ですね。5月中旬が応募締切でしたが、今回の作品は修了制作の一部として作っていたんですよね。
2年生に進級し、修了制作のテーマを考えている時期でした。私が作りたいと思っているものと、今回のヘンペルアワードのテーマ「原生・再生 To be Reborn」の「伝統と現代性の融合」という部分が合いそうだと思いました。
ージョさんのコレクションのテーマは「Rural Edge」でした。このコンセプトについて教えてください。
コンセプトは「田園生活と現代生活の融合」です。私が新宿から千葉に引っ越した経験がインスピレーションになっています。また、自分が子どもの頃に、夏休みに田舎のおばあちゃんの家に行って自然を感じた経験も思い出しました。田園と都市を行き来する生活 、都市のモダンさと田園の温かさが私の生活に欠かせない要素となりました。これは、現代の若者の生活スタイルでもあると思うのです。
ーコレクションではジャケットやコートなどのアイテムが、ニット素材で仕立てられています。フリンジの装飾も印象的です。
伝統的なものと現代的なシルエットを組み合わせたかったというのがあります。ニットは好きで、BFGUではコンピュータニットの選択授業がありますし、自宅に家庭用編み機も買いました。コートに使っているニット生地は、自分でサンプルを作ったあと、中国の工場で4メートルくらい作ってもらいました。
ーヘンペルアワードの最終審査会は2日間で、1日目がプレゼンテーション、2日目がファッションショーでした。プレゼンテーションにはどんな準備をしましたか?
プレゼンテーションは2分間と、とても限られた時間だったので、まずは自己紹介をして、審査員に生地、素材、技法について説明しました。コンセプトは事前に送ってあり、審査員も資料として手元にあったようでしたので、それ以外のことをお伝えしようと考えました。
ー審査員からの質疑応答では何を聞かれましたか?
ネックレスが多すぎるから、減らしたらどうかと言われました。質問というよりもコーディネートの話ですね。
ー2日目のファッションショーと授賞式は、昨年オープンしたという南宋徳寿宮遺跡博物館で行われました。
復元された南宋王朝時代の伝統的な建物にピンク色のカーペットが敷かれ、伝統と現代の融合が感じられました。日中はリハーサルを行い、夜にショー本番と授賞式です。私のコレクションはメンズとウィメンズ混合だったので、別々のバックステージを何度も移動しなければいけませんでした。裏側は少し大変でしたが、最終的にファッションショーを成功させることができ、とても嬉しかったです。
ージョさんの作品は、素材や色の組み合わせ方が高く評価されていました。コレクション1体ずつ、デザインや素材について教えてください。
1体目は、ツイードとウール地のパッチワークです。手縫いで縫い合わせています。足もとはタイツにチュールを付けています。
2体目は、前身頃はレーザーカッターでスリットを作った人工スエードに、フェイクファーの糸やリボンを編み込んでいます。後ろはウールの糸もつけてフリンジ状にしています。インナーの青いニットワンピースは横編み機で作ったものです。
3体目は、ホールガーメントニットに色々な種類の毛糸で作ったフリンジをつけています。ドレスの下の部分と帽子、バッグは手編みで作りました。
4体目は、前身頃に先ほどお話ししたオリジナルのニット生地を使っています。ポケットと後身頃はスエードで、リボンと毛糸を編みこみました。帽子には自分でデザインして工場に作ってもらったオリジナル刺繍パーツを飾りました。
ーヘンペルアワードの最終審査会に参加して、一番印象に残ったことは?
スペイン、ノルウェー、イギリス、カナダ、インドネシアなど色々な国のファイナリストの皆さんとコミュニケーションできたことです。様々な国の優れたデザイナーたちとの出会いと交流は、とても楽しいことでした。
ー卒業後の進路は決めていますか?
卒業後は友達と一緒にスタジオを設立し、自分のビジネスを始める予定です。
ー来年参加する人へのメッセージをお願いします。
デザインのアイデアを持っていることは重要ですが、制作プロセスでの探求、革新、調整がさらに重要だと思っています。作品に感情を込め、伝えたいメッセージが表現できるまで諦めずに創造し続けてください。誰かを感動させるためには、真摯であることが最も重要です。だから、創造を続けてください。
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