Hempel Award 2022 優秀賞 黒田花望
ーヘンペルアワードの最終審査会お疲れさまでした。今年も中国以外のファイナリストはオンラインでのプレゼンでしたが、参加されていかがでしたか?
私が英語を理解できなくて、よく分からないまま終わったなっていう気持ちが大きいです。最終審査のプレゼンには日本語の通訳の方がつくんですが、それまでのやり取りはずっと英語で送られてきて、頑張ってGoogle翻訳してという感じで進めていきました。
ー遡って、このコンテストに応募したところから教えてください。
コンテストやりたいなと思ってはいたんですが、既製服というより派手なものを作るのが好きだったせいか、一次審査に通らなくて。向いてないなって思って諦めていたら、担任の先生から「ヘンペルとか合ってるんじゃない」と言われて、送るだけ送ってみようと思って応募しました。
ーコンテストのテーマが去年と同じ「Hard Candy Youth」、それに加えて今年は海洋汚染の問題や、サステナブルについての考えを入れてくださいということでした。これをどのように受け止めましたか?
自分がサステナブルとかSDGsとかすごく分かっているかって言われたら、分からないし、服を作らない人にとっては、もっとよく分からないんじゃないかなって思ったんです。何も知らずに見た人たちにも、サステナブルを調べるきっかけになるようなものにしたいと思ってデザインを考えました。かっこいいデザインが多いコンテストの作品の中に可愛い作品があったら、目を惹くんじゃないかって。
ー黒田さんの作品のコンセプトが「Death is peace?」でしたね。
「死は安らぎ?」という意味です。私の好きなアイドルの歌に「死は安らぎ?」という歌詞があって、デザインが思いつかなくて悩んでいた時に、曲を聞いて色々考えて、出てきたのがこの感じなんです。
1体1体にイメージがあって、海洋汚染が人間のせいで進んだら、海の生き物を人間が殺しているみたいになるんじゃないかと思いました。でもそれを何とかして止めることができたら、彼らは苦しまずに済むんじゃないかって。
ー制作で大変だったことはありますか?
一次審査に通ってから最初の頃は、どうしたらいいか分からなくて、仮縫いどうしようかってずっと悩んでいたら冬休みも終わってしまった。冬休み明けの1月から作り始めて、2月の終わりには作品を送らなければいけないので、制作期間は結局1ヵ月くらい。1体は「機能服」の授業で作った作品が使えて、新しく作ったのは3体だったんですけど、全然終わらなくて、友達が手伝ってくれました。あとは、サイズが合わずに靴が履けなかったそうで、ショーの時に靴を手に持って歩いていて......。
ー本来は春に行われる予定の最終審査会がロックダウンで延びてしまったり、現地で着せつけができなかったり、もどかしい部分もあったと思います。今後コンテストに挑戦する人にアドバイスはありますか?
実際にやってみて、ちゃんと計画を立てないと色々な人に迷惑がかかってしまうんだと分かりました。手伝ってくれた友達とか、人の時間を使ってしまったのに結果が出せなかったりすると、申し訳ない気持ちになってしまう。時間を大切に使って欲しいです。
ー今はアパレルデザイン科の3年生ですが、文化服装学院を選んだ理由は?
高校は、産業デザイン科というポスターのグラフィックを作ったり、絵を描いたりする学科で、最初はそういうことを仕事にしたいなって思っていたんです。自分が描いたポスターが貼ってあったら嬉しいなとか。でも、違うなって、かなり早い段階で気づいてしまいました。就職や進学の話になった時に、やっぱり服がいいって思ったんです。
実家が大分なので、最初は大阪や祖母が住んでいる岡山を勧められたんですが、やっぱり東京に行きたかった。母が昔、服飾をやっていたこともあって文化服装学院の名前も聞いたことがあり、親と先生を説得しました。夏休みのサマーセミナーの体験授業に参加してワンピースを作って、ファッションショーを観て、すごいって思って帰った記憶があります。
ー入学後は?
課題の提出は高校の時からあって、締切に慣れていたので、そんなに大変だとは思わなかったんですよ。楽しいという気持ちの方が大きかったです。
ー学校以外の活動も忙しいと聞いています。
アイドルの衣装を作っているデザイナーさんのところにインターンに行っています。
ー衣装の仕事は人気ですね。やりがいがありますか?
着てもらえる相手のことを考えながら制作しています。私は誰が着るか分からなかったり、相手が見えないと正直やる気が出ないんです。着てもらえる相手が分かっていると、デザインが浮かんだり、綺麗に縫おうっていう気持ちになるんです。
ー今後の目標は?
漠然とした、かなり先の目標ですが、独立して、自分でデザインして制作する仕事がもらえるような人になりたいです。