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『比べて識別!野鳥図鑑670第4版』図鑑写真の撮影裏話(第2回)

Author:♪鳥くん(永井真人)

コベニヒワと亜種ハイイロウソ

 両種が北海道天売島にいるとの情報を得て、さっそく島へ向かうことに。島の周遊路には珍しく雪が少なく、除雪可能な年でした。初日から島の東部でベニヒワ小群の中にコベニヒワを発見! しかし、小枝や草にかぶりがちで特徴がよくわかる図鑑写真の撮影は困難。
 コベニヒワの撮影では、ベニヒワとの識別点の1つである腰の白さがわかる写真が撮りたかったので、かなり難易度は高かったのですが、粘りに粘ってなんとか良い図鑑写真の撮影に成功。第3版まで掲載していた画像(北海道鶴居村でベニヒワ約100羽の中の1羽。ちょっと撮影してすぐに行方不明になった個体)よりもかなり良い写真を掲載することができました。


亜種ハイイロウソの収録ページ。

 亜種ハイイロウソは初日からちょいちょい探していたのですが見当たらず。しかし滞在3日目、島の南側の遊歩道で、海を背にした谷の下からウソの鳴き声が聞こえてきました。もしかしたら亜種ハイイロウソでは? 鳴き声がだんだんと近づいてきて、遊歩道沿いの枝に♀がとまったところをなんとか写真におさめることができました。
 亜種ハイイロウソ♂は谷の下、遠くの地面の上にちらほらとその姿が見えたのですが、逆光で遠かったため、撮影はできませんでした。ということで、亜種ハイイロウソ♂の写真は情報をいただいた天売島在住の方にお借りして掲載しています。なお、このときの天売島での鳥見旅は、『月刊BIRDER』2022年1月号「ぶらり鳥見さんぽ道」でご覧いただけます。

 亜種ハイイロウソは天売島が初記録となっていますが、それ以前にも山陰地方や新潟県等に在住の方のTwitterやwebサイトに、どう見ても亜種ハイイロウソと思われる写真が掲載されていたので、これまで見逃されていたと思われます。図鑑を通して亜種ハイイロウソの存在が多くの人に知られれば、今後も記録される可能性はあると思います。

Author Profile
永井真人(ながい・まさと)

プロバードウォッチャー。国内外のバードウォッチングガイド、イベント出演、講演、執筆、写真提供など、車中泊しながら、鳥にまつわるさまざまな活動をしている。全日本鳥フォトコンテスト審査員、千葉県我孫子市「鳥の大使」、山梨大学非常勤講師。著書に『鳥さんぽをはじめよう』『やばすご鳥伝説』(主婦の友社)、『東京都近郊野鳥撮影ガイド』(山と渓谷社)など多数。元ミュージシャン(作詞、作曲家)としての経歴があり、アイドルグループへの楽曲提供多数。

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