『比べて識別!野鳥図鑑670第4版』はここが変わった!(第1回)
Author:♪鳥くん(永井真人)
『比べて識別!野鳥図鑑670第4版』は、掲載種や分類を準拠予定だった『日本産鳥類目録第8版』(日本鳥学会)の出版が大幅に遅れたため、日本鳥学会による「日本産鳥類目録第8版に向けてのパブリックコメント用リストとその回答」の内容を踏まえつつ、世界(主に東南アジア)で現在、主流となっている最新の分類を取り入れました。
海外では以前から別種とされているツグミとハチジョウツグミや、近年は別種扱いするのが一般的となったアオジとシベリアアオジ、サンショウクイとリュウキュウサンショウクイのほか、別種から亜種扱いになったものなど、日本の野鳥図鑑の中では、現在主流の分類がいち早くわかるものになっています。
新たな掲載種
『比べて識別!野鳥図鑑670第4版』では、第3版が出た2019年以降に国内で初記録や公表された種類、第3版では掲載できなかった種類などを新たに掲載しています。
アメリカハイイロチュウヒ(♂・♀・幼鳥)、ニシブッポウソウ、ズキンガラス(ハイイロガラス)、サンジャク(成鳥と幼鳥)、シキチョウ(♂・♀)、マンシュウイナダヨシキリ、ヨーロッパヨシキリ、チャムネサメビタキ、チベットウタツグミ、亜種ハイイロウソ(♂・♀)、亜種アラスカシジュウカラガン、セグロシロハラミズナギドリなど、初記録が多すぎて著者としてはたいへん。
見た目の特徴などが広まれば、記録される可能性がより高まるので、できるだけ掲載したいと思っているのですが、近年は南半球の海鳥の初記録が多く、写真を載せられなかった種も多いです。
※海鳥以外はほとんど網羅しています。
差し替え・追加した画像について
『比べて識別!野鳥図鑑670』第3版から第4版の掲載画像については、差し替え162枚、追加144枚、削除13枚となりました。今回も盛りだくさん。
主なものは今後、必要性が増すであろうアオジとシベリアアオジ、トラツグミとコトラツグミの相違点、しばしば識別で話題になるツツドリ、クロヅルなどのバリエーションの追加と差し替えのほか、普通種のキジバトやツグミ、シジュウカラ、エナガ、ヤマガラ、ホオジロなどをより良い画像に差し替えました。また、思わぬ誤認例があるハシボソガラスのバリエーションを追加し、アオハクガンの幼鳥や2年目、成鳥の追加と差し替えなど……。
終わりのない図鑑写真道ですが、皆さんがフィールドで撮影・観察した野鳥と同じような画像が掲載されている図鑑をテーマに、大幅にグレードアップしています。『比べて識別!野鳥図鑑670 第4版』を入手したら、この先10年くらいは使えると思っています。
第2回へつづく。
Author Profile
永井真人(ながい・まさと)
プロバードウォッチャー。国内外のバードウォッチングガイド、イベント出演、講演、執筆、写真提供など、車中泊しながら、鳥にまつわるさまざまな活動をしている。全日本鳥フォトコンテスト審査員、千葉県我孫子市「鳥の大使」、山梨大学非常勤講師。著書に『鳥さんぽをはじめよう』『やばすご鳥伝説』(主婦の友社)、『東京都近郊野鳥撮影ガイド』(山と渓谷社)など多数。元ミュージシャン(作詞、作曲家)としての経歴があり、アイドルグループへの楽曲提供多数。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?