掛川花鳥園スタッフのゆるゆる自由研究 【オシドリの池ストーカー事件】
花と鳥とのふれあいが楽しめるテーマパーク、掛川花鳥園のスタッフによる、園内の鳥たちのディープな情報や楽しい実験をスタッフブログから集めたよりぬき連載。今回は「カモたちがすむオシドリの池で起きた事件」に注目!
事件の概要
静岡県にある掛川花鳥園オシドリの池内でストーカー事件が発生しました。
被害鳥はツクシガモとクビワコガモで、被害相談、届け出はなかったものの、ビデオカメラに犯行の様子が映っていたことから、現行犯として検挙されました。
犯行の瞬間の動画はこちらです。
この通り、後ろをピッタリと尾行しているではありませんか!!
白昼堂々に行われたこの行為、写真には容疑鳥もしっかり映っています。
そう、ハシビロガモです。
飼育スタッフは取材を試みました。
スタッフ 「どうしてストーカーをしたんですか?!」
ハシビロガモ「………」
スタッフ 「なぜツクシガモやクビワコガモを狙ったんですか?!」
ハシビロガモ「………」
犯行を認めません。
グワッとも言わず、黙秘を続けています。
なんなら寝てます。
しかし、ハシビロガモが犯行に至った理由もあるはずです。
その生態を調べてみましょう。
ハシビロガモとは?
ハシビロガモは漢字で「嘴広鴨」嘴の広いカモ=ハシビロガモです。
見た目のままつけられていて覚えやすいですね!
野生では冬鳥で、お堀の池や都内の公園などにもよく群れで訪れる、身近なカモの1種です。
この横に広い嘴で水面に浮かんでいるプランクトンなどをパクパクしながら食べます。
よーく見ると、嘴の内側に、ブラシ状の歯のようなものがあります。
ハシビロガモはこのブラシのような器官で食べ物だけをろ過して食べているんです!ハシビロガモだけではなく、ハクチョウなどのカモの仲間やフラミンゴなどにも同じ器官があります。
このブラシのような器官と食事のスタイルが、ストーカーをするに至った大きな鍵です。
ハシビロガモは縦一列に並んで泳ぐことによって、前のカモのバタ足で舞い上がってきたプランクトンなどを食べているのです!
つまり、ぴったりと後をつけていたのは効率よく食事するための行動だったというわけです!
なお、野生の群れはハシビロガモ同士で集まってぐるぐる回って渦を作り、渦に引き寄せられたプランクトンを食べる行動も見られます。
これにて一件落着!無罪放免です!
オシドリの池では、このようなカモの習性を見ることができます。
ぜひ、カモたちの行動をじっくり観察しにきてください。
BIRDER
バードウォッチング専門誌BIRDERでは,2021年4月〜2023年12月号まで,「掛川花鳥園出張ガイド」を連載していました。電子版などのバックナンバーで読むことも可能なのです。公式ホームページの総目録でどんな鳥が主役になっていたかわかるので、ぜひ推し鳥の号を探してみてください。