文房具の新しい教科書(筆記具の分類編)
筆記具。文房具で一番に頭に浮かび、誰しも手にしたことがあるもの。ひとことでいうことは簡単ですが、文房具店では様々な筆記具が並んでいます。ボールペン・蛍光ペン・シャープペンなどが思いつくところでしょうか。その特徴や種類を分類しながら見ていきたいと思います
ボールペン
筆記具といえば、一番種類もあって筆記具メーカーがこぞって新しいものを生み出すジャンル。安定した筆記のためのインクフロー、なめらかさや筆記の心地よさ、はたまたノック音の低減まで。書き心地をこれでもかと追及する商品開発の努力には驚かされることも少なくありません。
定義づけとしては
◼️「先端のボールに付着したインク が紙との摩擦で回転することによってインクを紙に供給する筆記具。」
といえます。
インクによる分類
仕組みは変わりませんが、そのインクが変わることで、書き味や色が大きく変化します。ここではインクの種類とその特徴について解説します。
油性
有機性オイルに顔料を混ぜ込んだもの。粘度が高く、耐水性・耐光性に優れます。インクの色数は多くなくて、黒・赤・青・緑くらい。書き味はやや硬めで粘り気が強い。いわゆるボールペンのインクといってピンとくる人は長くボールペンを使っている人。最近のものは潤滑剤を多く入れることでなめらかなものが増えました。つまりインクが低粘度になっていてサラサラ書けるということです。サラサラインクの先駆けはなんといってもジェットストリーム(三菱鉛筆)。これがなかったらボールペンのインクの進化はここまで進んでいなかったかもしれません。ジェットの後アクロボール(パイロット)やビクーニャ(ぺんてる)が追随しました。
水性
水に染料や顔料を混合したもの。インクが蒸発しやすいためキャップ式が多いです。
すらすらとした書き味で染料タイプは水に弱いのが特徴。(ボールぺんてる(ぺんてる)・ユニボールアイ(三菱鉛筆)・マルチボール(パイロット)・いわゆるローラーボール)
ゲルインク
水性インキに粘り気を出すゲル化剤を混合したもの。芯の中ではゼリー状に固まっていますが、ボールの回転によって力が加わると粘度が下がり紙に付着します。紙についたのちに固着します。発色がよく、色数が豊富。すらすら書けて耐水性が高いのが特徴です。代表的なもので言うと(サラサクリップ(ゼブラ)、ジュースアップ(パイロット)、ユニボールワン(三菱鉛筆)、エナージェル(ぺんてる))があります。
フリクション
摩擦熱による温度変化によって、透明になる顔料を使用したインク。いわゆる消せるボールペン。(フリクションボール(パイロット))これについてはいつかしっかりと説明したい商品です。
エマルジョン
油性インクと水性インクを乳化剤を用いて混ぜ合わせています。そのためしっかりとした書き味とさらさらとした軽さを併せ持つゼブラ独自のインクです。スラリ(ゼブラ)
単色における形状2種
キャップ
ペン先をキャップ(ふた)で保護しているタイプ。
ノック
後端のノックを押し込むことでペン先が出てくるタイプ。再び押すとペン先が収納されます。収納時にノック以外の部分を押すものも。
クリップとノックが連動していて、クリップが開くとノックに作用してペン先が戻るものもあります。
ペン先形状について
そんなに先っぽをじっくりみることがないかもしれませんが、ちょっとした違いがあるのです。
コーン
円錐状に削り出した先端にボールを固定したもの。広く使われるタイプ。
チップ
パイプの先端にボールを固定したもの。極細タイプに多く見られる。
シナジーチップ
板状の素材を引き絞ることで円錐形を作り、内部のインク容量を増すことで、インク供給が安定し、かすれにくい。
多色・多機能筆記具
筆記具売り場で単色と別枠でおかれていることが多い、「多色・多機能筆記具」。まずはボールペンのブランドが確立してから多色や多機能への水平展開が一般的です。一本で色が使い分けられるので何本もペンを持ち運ぶ必要がありませんし、色を変える時にペンを持ち替える必要もありません。単純に便利。
ここでは「多色」「多機能」という分け方にしています。文房具店によってはまとまっているところもありますがシャープペンのあるなしで分けているところが多いようです。
まずは多色から。
多色
一本のペンの内部に、複数の芯を収めたもの。芯を使い分けることができるため、色分けなどに便利。
一般的に単色ペンより芯が短いため、インク容量が少ない。またあんまり使わないインクは残りやすい。赤黒2色から赤黒青と緑など4色入るものが多い。芯を複数入れるため本体がやや太めのものが多かったが、最近はスリムタイプを各社販売している。
芯の出し方による分類(多機能共通)
ノックの方式は詳細にみていくと下記の3つに分かれる。
●それぞれの芯とつながったノックをことで目的の芯を出すノックタイプ
●上下に分かれた本体を回転させることで目的の芯を出す回転タイプ
●ノックは一つでノック部分を上にした状態で、ノック部分を奥、ペン先を手前になるようにペン本体を斜めに持ち、ペンの下側に配置されたる芯が出てくる振り子タイプ
※ノック式で、色ごとにノック部分の形状を変えて、見なくても手触りで目的の芯を選べるペンもある。(トンボ レポーター)
多機能
多色筆記具にシャープペンの機能が含まれるもの、または選択できるもの。主にシャープペン含めて3色〜5色が多い。本体にセットされたものが多いが、セレクト型も根強く人気。
多色と機能的にはほとんど変わらないため、以下ではセレクト型について記述している。
●セレクト型
後端部差し込み型
ハイテックCコレト(パイロット)
ペンの後端部を開いて芯を差し込むタイプ。芯とノックが一体で,色とノック部の色が同じのため、どの色の芯を出すか分かりやすい。この方法はパイロットが特許を取得しているため、他社はまねができない。
ノック側差し込み型
スタイルフィット(三菱鉛筆)
アイプラス(ペんてる)
サラサセレクト(ゼブラ)
上記3種類はいずれも本体にノック部分が固定されているため、本体下部を回転させてあけ、ノック側にリフィルの後端を差し込む形状となっている。また芯の色を確認できるように本体の一部が透明。透明部分から見える芯部分にキャラクターを印刷するなど細かいこともやっている。
シャープ芯の補充について
シャープ機構を露出させ(主にペン下部を外す)、芯が出てくる先端部分と本体に接続されているパイプを持って先端を引き抜く。パイプ内にシャープペンの芯を入れて戻す。複数のリフィルを本体に収納する必要があることからシャーペン機構のパイプは細い。そのため3本程度の収納にとどめないと高い確率で詰まる。
いかがだったでしょうか?
筆記具、しかもインクを使うもので限定していますが細かく分類していくと私自身たくさんの気づきがありましたし、しっかり調べたつもりでも知識があいまいだったり、調べて改めて気づいたこともたくさんあってまだまだ未完成です。こんな分類が皆さんのお役に立てればいいなと思っています。
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