あなたの世界を広げるために「誰かのための旅」をしよう
この文章はいま受けているライタースクールの課題記事です。
とはいえ、実際に自分が体験したこと、思っていることでもあります。
こんにちは。ライターのぶんごーです。
今日は新しく大学に入学したみなさんに「学生におすすめの旅」の話をしようと思います。
ぼくのおすすめはズバリ「誰かのための旅」です。
時間はあなたの財産
ぼくが学生のみなさんをうらやましく思うのは時間がたっぷりあること。
いや、分かってますよ。大学生だって忙しいことは。
授業にバイト。友達と遊ぶのも大切ですし、先を見据えて資格の勉強をしたりインターンで社会経験を積むのもいいでしょう。
でもね、自分の学生時代を思い返してみると、自分の気持さえあればもっと時間をつくることができたなあってちょっぴり後悔してるんです。
そしたらもっといろんなことができたのにって。
時間がたくさんあるかにその大切さに気づいてなかったなあ。
フリーランスは自由じゃない!?
ぼくは組織に属さずにフリーランスで活動しています。
「フリーランス」って響きのいい言葉ですよね。日本語だと自由業。
自分の思い通りに自由に生きていける職業、そんなふうに思う人もいるでしょう。
現実にはフリーランスは全然「フリー」ではありません。
黙っていても誰かが仕事をくれることなんてないし、スケジュールは仕事を頼んでくるクライアントさんの都合で決まります。
急に仕事が転がり込んでくるだってよくあって、行きたいコンサートやお芝居があっても早目にチケットなんて取れないわけで…
自分の意志で時間を生み出すことができるのは大学生の特権です。
行きたいところに行って、やりたいことができるんです。
そのメリットを最大限に活用するのはどういう旅なのでしょうか。
他の遊びやアルバイトより価値のある旅。
いま、この時にしかできない旅。
世界のどこにもない経験ができるあなただけの旅。
それが「誰かのための旅」なのです。
ぼくにとっての「誰かのための旅」
「誰かの旅」ってどんなの?
まあ、そう思いますよね。
ではぼくが実際に体験した旅の話をしましょう。
2018年の4月、ぼくは宝島にいました。
宝島は鹿児島県で屋久島と奄美大島の間に点在するトカラ列島のひとつ。
アクセスは週に4便のフェリーだけ。
奄美大島からは3時間、鹿児島からだと13時間近くかかる離島で人口は130人ほど。
観光ポイントも特になくて、島に数軒の民宿に泊まっているのは工事関係者くらいという秘境の島です。
そんな島を訪れたのは重油を拾うためでした。
当時はニュースにもなったのでなんとなく覚えている人もいるかもしれませんが、その年、東シナ海でオイルタンカーが座礁して積み荷の重油が流れ出すという事故がありました。
漏れた重油は潮に運ばれて宝島の海岸に漂着。
不思議なことに近くの他の島にはほとんど流れ着かなかったのに、宝島だけは島を一周する全ての海岸が黒い重油で覆われたのです。
もちろん事故を起こした船会社からも復旧のための業者は手配されていました。
とはいえ、島の全ての海岸。
半日もあるけば一周できるほどの小さな島ですがそれほど簡単なことではありません。
道路から遠く離れて器材が持ち込めず手作業でしか対応できない場所もたくさんあって、業者さんだけでは作業は遅々として進みませんでした。
そんなわけで重油回収のボランティアを募集することになり、ぼくはそれに応募して島を訪れたのです。
宝島での過ごし方
ボランティア募集の中心人物は移住者で農家の功(いさお)さん。
参加ボランティアは功さんが用意してくれた一軒家で共同生活を営みます。
だいたいが1~2週間の滞在で人はどんどん入れ替わっていきます。
食事は自炊で食材は足りなくなると功さんが補充してくれてました。
家のすぐ近くに島に1軒だけの商店があって、日用品やちょっとしたお菓子などはそこでも手に入れることができます。
作業は一日に6時間ほど。
ぼくたちの持ち場は道路から海岸の岩場を15分ほど歩いたところ。
岩にこびりついた重油をへらで掻き取ってひたすら拾い集めます。
作業は単純ですが防護服にヘルメット、手袋、長靴の重装備なのでなかなか大変でした。
3日に一度はお休みをもらえるので、島を歩いて一周したり、功さんの畑仕事を手伝ったり。
功さんに島で一番高い山の上まで軽トラで連れて行ってもらったこともありました。
自分では選ばない旅先に
大人になってしまったぼくには分かるのですが、大人なんて大したことありません。
大人になっても知らないことはたくさんあります。
訪れたことのない場所もたくさん。
宝島はとてもアクセスが悪い島です。
有名な観光スポットやSNS映えするポイントもありません。
訪れる人が少ないのでネットで検索しても情報はほとんど出てこないし、なにかの途中に立ち寄れるような場所でもないです。
多分、事故がなければそしてボランティア募集がなければ、一生訪れることのない島でした。
ある土地に長く滞在して、ちょっとした仕事や困り事に手を貸す、それが「誰かのための旅」
自分では絶対に選ばないであろう旅先は「誰かのため」だからこそたどり着くことのできた土地なのです。
そこには想像していなかった美しい風景やたくましく生きている人がいました。
知らない土地で知らない景色に出会う。
ただ通り過ぎるだけでなくちょっとした、だけどしっかりとした足跡を残す。
あなたの世界を広げてくれる「誰かのための旅」
それはまだ何者でもない学生にこそ、大切な旅なのではと思うのです。
「誰旅」の行き先を探すには
でもボランティアの募集なんてそんなにしょっちゅうあるわけじゃないだろうし、募集がかかっても情報はどこで手に入るの?
そう思った人も多いのではないでしょうか。
ボランティアだけが「誰かのための旅」ではありません。
観光地の施設に住み込みで働くリゾートバイトも立派な「誰旅」。
農家での住み込みボランティアを紹介するWWOFF(ウーフ)という仕組みもあります。
探せば「誰旅」にふさわしい旅先はきっと見つかることでしょう。
土地と旅人を繋ぐ活動を行っている団体さんはいくつかありますが、そのなかでぼくのおすすめを紹介します。
村おこしNPO法人ECOFF(エコフ)さん。
都市部から離島や山間地にボランティアを送り込むことで、お互いがそれぞれ豊かになることを目指しています。
台湾やベトナムを含め、国内外20ヶ所ほどの滞在先でのボランティアプログラムは基本10日間の滞在。
現地集合、現地解散で土地に住んでいるホストさんのアテンドで様々な活動が体験できます。
コロナでプログラム実施地域や参加者は少なくなりましたが、最大で年間500人近く、2021年度は250人ほどが村おこしプロクラムに参加しました。
参加者は大学生が中心ですが社会人でも参加できます。
ひとりでも参加できますし友達同士で参加する人も多いようです。
それぞれの土地でしかできない体験もたくさんありますし、現地の人との交流や興味の近い参加者同士の出会いも楽しみ。
サイトには過去の体験談などもたくさん掲載されています。
気になる滞在先があったらレポートをチェックしてみましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
「誰かのための旅」はいままで想像しなかった旅の形ではないですか?
こんな旅もあるんだと気づいたことで、あなたの世界は少しだけ広がりました。
そして知らない場所に足を踏み入れることで、もっとたくさんの出会いがあなたを待ち構えているはずです。
偶然の出会いに心ときめかす、そんな旅の扉を開けましょう。
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