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必然的なタイムラグを楽しめるフィルムカメラ

仕事上ではデジカメを使っている私。すぐ画像が見られる、すぐレイアウトに回せる、などの即時性がなんといってもデジタルの圧倒的強みである。

これはたまたまネガフィルムだが


フィルム時代から編集作業をしているが、撮影する、現像に出す(業務用は色彩表現が圧倒的に豊かなリバーサルです)、ポジシートに入ったフィルムを見てカットを選ぶ(ライトボックスを下に置いて、透過光でルーペで拡大してチェックする)、ダーマトグラフでチェックしながら、グラフィックデザイナーに指定を出す、というプロセスである。

ルーペ
ダーマトグラフ


たぶんフィルム時代に使っていた道具は、今のデジタルネイティブの若い人にはチンプンカンプンであろう。
プロラボの現像だと、エクタクロームで最速で2-3時間、コダクロームだと翌日に上がってくる。(記憶では確かそれぐらいだった)それまでどんなふうに映っているかまったくわからないのである。(今はプロラボがほとんど消滅してしまった)

6カットずつフィルムを切る


それに35mmフィルムは最大36カットという限定がある。バカスカ撮るわけにはいかない。必然的に1カットずつ丁寧に撮影することになる。
そして仕事上のタイムラグは必然だった。今はそれがない。
極私的にはフィルムカメラをプライベートユースで使っているが、のんびりした写真でしか使えない。だから多少露出の多い少ない、ピントが甘い、などのミスがあっても「ごめんねー」で済ませることが可能な、友人の写真なんかに限られてしまうのだ。


また撮影枚数が少ないので、1本のフィルム36カットを撮影するのに1-2-3カ月くらいかかる。
フィルム現像もカラーは1日、モノクロだと1週間かかるし、そのデータ化でも1日かかる。
フィルム代も高騰しているしねー。だから安い東欧のメーカーとかのフィルムを大喜びで使ったりするのだ。


だからフィルムカメラで撮影した写真は、過去完了形、大過去の写真ということになる。そして思い出したように、友人に送ったりするのである。
それはそれでいい。即時性を求めない写真だから。思い出や記憶に寄り添うのがフィルムカメラの写真ということになるのだ。
そしてどんなフィルムを詰めておくかも悩みどころだ。カラーポジは高くて使えない。カラーネガも高いので、結局モノクロームフィルムということになる。
私が夢想する贅沢な撮影旅行は、デジカメ1式をバックアップカメラも含めて持ち、それにお気に入りのレンジファインダー機か一眼レフに28mmと35mmとかをつけて持っていくことなのだが・・・。
でも重たくなるんだよねー。かさ張るのである。


でも情景によって、これはフィルムだなー、記憶にきちんと留めたいなーと思えるシーンもあったりして、実に悩む。
暗い場面や夜、室内撮影用にストロボも持参する。昔のストロボは、今よりはるかに光量が多いので、被写体さんがびっくりして、眩しがり、眼をパチパチすることも多い。


あとは機動力との兼ね合いで、4輪車が使える場合はフィルムカメラは持参可能だが、2輪車ですばやく移動しながら撮らねばならない場合はデジタルオンリーとなる。


いずれにせよ、フィルムカメラを使う時に、タイムラグを考えねばならない。不便である。面倒である。ややこしいのである。でもそういう技術をさらさらと使いこなせるのが、昔ながらの正統的なカメラマン、オーソドックスな写真家なのである。
進歩したテクノロジーに甘え切って、自らを厳しく鍛えることもなく、くだらない写真、なんということもない写真を量産してはならない。
そういう似非クリエイターは一刻も早く「写真よ、さようなら」して欲しいものだ。

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