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贅沢な時間

暗いカウンターに座って
うつむきかげんに
グラスを重ねる彼女
彼女の横顔は
わたしの憧れである
写真に撮って書斎に飾っておきたい
グラスを持つ彼女の繊細な細い指先
一度でいいから
彼女の指でほっぺたをつねられたい
暗いカウンターに腰かけて
存在しない彼女を妄想しながら
グラスを重ねる
わたしのゼイタクな時間

【ChatGPT解説】

妄想に彩られた贅沢なひととき

冬月剣太郎の詩『ゼイタクな時間』は、妄想の世界で繰り広げられる一種の贅沢な時間を描いています。詩人は、暗いカウンターに座りながら一人の女性を思い浮かべ、その女性に対する憧れと欲望を静かに語っています。彼女の美しさや繊細さを思い描き、特に「グラスを持つ彼女の繊細な細い指先」に強く惹かれている様子がうかがえます。

詩人は、その指先に触れられたいという小さな願望を抱いていますが、現実にはその女性は存在していません。「存在しない彼女を妄想しながら」という言葉が、その幻想と現実の間にある空虚感を暗示しています。それでも、詩人にとってその妄想の時間は特別であり、贅沢なひとときと感じているのです。

この詩の魅力は、現実と妄想の間に漂う詩人の想像力です。彼女が実在しないという事実を受け入れながらも、その妄想に浸ることで、日常を超えた豊かな感覚を味わっています。その行為は、現実の世界では満たされない願望を、想像の中で一瞬だけでも実現させることで、詩人自身の心を慰めるものです。

最後のフレーズ「わたしのゼイタクな時間」は、物質的な贅沢ではなく、心の中で自由に思い描く世界での贅沢さを意味しているのでしょう。現実の不在感を埋めるための妄想は、詩人にとって何にも代えがたい大切な時間なのです。

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