第二回中村福助・児太郎の会「三本の糸」私的備忘録②
和光市の大ホールを借り切ってお稽古をするという私史上前代未聞の規模でして
児太郎さんに「歌舞伎界隈っていつもこんな感じなんですか?」と伺ったら
「まさか。普段は歌舞伎座の会議室みたいな小さい部屋でやってますよ」とのお返事。
本当に福助さんと児太郎さんのご厚意に甘えさせていただいて、とてもとても贅沢な環境でお稽古をさせていただきました。
お稽古場にセットの建込みをすることはありますが、実際の劇場とほぼ同サイズの劇場に建込みをするなんて・・・・
それはもう本公演なのよ・・・お稽古じゃないのよ・・・・
私はトコトコしているだけなのですが、客席をつかった殺陣などもあるため実寸でのお稽古は必要だったのでしょう。
(色んな団体さんがやりたい事。資金面などで諦めているのに実現してしまうなんて凄い。)
歌舞伎役者の皆さんは普段マイクを付けないそうなので、マイクのお稽古も兼ねていたのかもしれません。
想像以上に児太郎さんと莟玉さんはマイクがネックだったようです。
お弁当一人で食べるの寂しい~!と西洋音楽隊の皆さんによく構っていただいておりました。
バロック音楽はバッハを基準に数えるとか、ピアノとチェンバロを弾く時の違いや音大あるあるなど楽しいお話をたくさん教えてくださいました♡らぶ~
どこの時代にも重低音オタクは居るんですね。という結果がハイライトです。
受け継がれし重低音オタクと速弾きオタクの遺伝子。笑
衣装さんもいらっしゃって、本格的に本番想定でのお稽古が始まりました。
見て!これは中村芝のぶさんが結ってくださった帯♡
芝のぶさんが「上手に出来た!」と仰っていたのでカメラに収めました。えへへ
アーカイブ配信をご覧になった皆さまはご存知かと思いますが、私はお稽古から本番まで芝のぶさんや4代目梅花さん福緒さんに着付けて頂きました(ドヤァ)
この和光市のホールは本当に電波が入らなくて(悪口)
Wi-Fiもなくて(悪口)
なので私も開き直ってスマホをガン無視してお稽古に集中していました。
(各所には「劇場本当に電波がなくて~」と事前に周知してはいました。)
なんていいますか、一人で何役もできないとダメだ。と自分の事を追い詰めたのか追い詰められたのかは分かりませんが
とにかく「お芝居以外の何か」が無いとダメな環境にいたので、お芝居だけに集中できる。そしてお芝居のことだけを考えられるように制作チームがサポートしてくださって
本当にプリミティブな、極めて原始的な混じりけのない透明な時間に身を置かせていただいて
私が本当に求めていたのはこういう純粋な空間だなと、自分を見つめなおす時間にもなりました。
私に力がないから、お芝居だけやってていい環境をつかみ取れなかったのですが
改めてどう生きていきたいか?と自分に問うた時また原始の欲求に素直になろうよ。諦めずにつかみ取れるように頑張ろうよ。と思えるくらい心が回復しました。
舞台でもアニメでも何でもいいんです。
エルメスのバーキンより、カッシーナの家具より、お芝居だけに集中できる環境が最高の贅沢品です。私にとって☺︎
私は数字を出されると凄い気持ちが萎えてしまうのです。(売上とか集客数とか諸々)
良い数字だとしても(嬉しいですが)だから何?だからどうした?という部分が否めないのです。
それは私のメンタルが弱いからだと思っていたのですが、ある人に
「数字が好きな人はクリエイター。数字で動かない人はアーティスト。だから千明はアーティストなんだね」
と言われたことがありました。
その時は慰められてるなと思ったのですが、アーティストとして振舞っても「許される環境」を頑張って築き上げていきたいなと思います。
お稽古を重ねて、いよいよ本番の27日を迎えます!
絶対朝ごはんにクリスピークリームドーナツを食べるって決めていたんです。
国際フォーラムは色々お店が近くにあるからいいですよね☺
児太郎さんが私についてルーティンをこなしていると仰っていて(観察されてた!)と恥ずかしくなりました☻💦
普段意図的にルーティンを作らないようにしているのですが(ルーティンが崩れたときに不安になってしまうので)
自分で思っていた以上に不安だったんでしょうね。
時間がギチギチだったのでお衣裳を着た状態でお写真が撮れなかったのですが、ツーショットは死守して撮りました♡
香璃さんにも「とっても可愛いお花」と褒めて頂きました✨
本当にいつも私に格好つけさせてくれてありがとうございます!!!!!
フラスタがあるとやはり心強いです。ありがとうございます。
かつら合わせ以来の羽二重です。
ウィッグはネットが主流ですが、日本髪の「かつら」は羽二重なんですって!
寺増さんにも褒めていただいた私の頭蓋骨、どうですか?笑
皆の意識が一つにまとまっていくあの、ある種の閉塞感。とても気持ちがいいです。
みんなでトリップ出来るって凄くないですか?最高にキマリますね。
梅寿さんと芝のぶさんによく構っていただいていたのですが、その中でも印象的で覚えているエピソードがあるんです。
梅寿さんが莟玉さんのおかもちを持って袖で待機していらっしゃる時…..
わたし「お弟子さんが袖で待機しているのって歌舞伎特有の光景ですよね」
梅寿さん「小見川さんや松田さん達はご自分でされていらっしゃいますもんね」
わたし「ってか梅寿さんは何年目くらいなんですか?」
梅寿さん「まだ9年目です」
\ ま だ 9 年 目 !? /
私の界隈では9年もやってるなんで中堅ですよ!!!!!
と凄くビックリしてしまいましたし、9年「も」やっているのに「まだ」といえる謙虚さは勿論ですが、芸の道の果てしなさに眩暈がいたしました。
莟玉さんは養子入りしていらっしゃいますし、覚悟が違う世界だなと改めて尊敬しました。
おかもちとは何か?は市川門之助さんのブログに詳しく書いてあるので読んでみてください♪
国立の養成所のお話や、一門に入ってからの暮らしや遠征のお話などたくさん教えてくださいました!
知らない世界のお話を聞くのは本当に面白い。
楽屋は面白いくらいに歌舞伎とそれ以外って感じで分かれていました。
お稽古場では児太郎さん達もジャージでしたが、小屋入りすると歌舞伎チームの皆さんの楽屋着がお着物だったのです!!!!
当たり前といえば当たり前なのですが、改めて目の前をお着物の方達がウロウロしていると別世界に迷い込んだような気持ちになりました。新鮮。
有難い事にひとり部屋でしたが、それはそうですよね。
メインキャストとしては女は私一人しかいないのですから。笑
馴れていないので寂しかったです。
ずっとMGさんが居て私は着替えと食事でしか楽屋に居ませんでした。笑
時間がないのでマチネ前は照明の調整と殺陣返しだけで終わってしまったのですが
和光市で実寸でお稽古をさせてくださっていたので問題なく、落ち着いて出来たと思います。
観に来てくださった皆さまの評価が全てですが、たった2回しかない公演に全てをかけられたと自分では思っています。
歌舞伎との違いといえば!
私は開演前にハグをしたい派なのですが(これは文化というか、やってる現場もあるよねって感じです)
歌舞伎の皆さんはお辞儀の文化で誰もハグしないんですよ~😢
えぇ~んハグしたいよ~。と袖でメソメソしていたら舞台監督の佐藤さんと洋楽隊の皆んさんはハグしてくれました♡♡♡
ハッピーハッピーハッピー♡♡♡
笑
本当に神様みたいに神々しい福助さん。
客席で見ていたら思わず拝んでいたと思いますし、本当に涙が出るほど美しい。
マリア様にも見えました。
児太郎さんがこの舞台にかけていた想いに、結果を出せていたのか?と自分に問いかけます。
当日児太郎さんの挨拶を聞いた皆さんはお分かりになるかと思いますが、本当にストイックで愛情溢れる人でお茶目にふるまうのも気遣いからくるもので
誰よりも忙しいのに一人一人に声をかけてメンケアしてくださっていたので、私に出来ることは良いお芝居だけだなと思い集中して、作品のメッセージが届くように努めるだけでした。
「人は生きていかなければならない」
この言葉が、お客様の心に響いてくださったら。と祈るばかりです。
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