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次はグレーター・イスラエル計画を阻止せよ

私は前回の記事で、「新型」コロナウィルスは「ある時点」で消え、そのある時点とは、米大統領選である可能性が高いと言う予想を書きましたが、偶然にも、その後、日本でも世界でも既にピークを過ぎたのではないか、という見解が見られるようになりましたね。

私は引き続き、今年中に「消える」と言う予想を維持するとともに、大統領選後の国際情勢の予測を始めなければなりません。

「ディープ・ステート」は既に認められている

昨今の国際情勢は、資本主義の支配を2分する勢力によって引き起こされていることを書いてきましたが、この話は多くの日本人が知らないだけで、認められています。

ディープステートについてはこれまで、「いかがわしい陰謀論の産物で、実際には存在しない」という見方をされてきた。ところが最近、米国の権威ある新聞ニューヨーク・タイムズがディープステートの存在をほとんど認める記事を掲載し、話題となっている。記事は10月23日付で、『トランプの「ディープステート」に対する戦争は不利な状況』というタイトル。ピーター・ベーカー記者ら5人の共同執筆となっている。

米国、ディープステートとメディアが結託し戦争誘発…NYタイムズが認めて波紋 Business Journal

まずこのことをきちんと理解しないと、国際政治は全く理解できないのです。変なプライドは捨てましょう(笑)。

ただ、私はネット上に多くいる「ディープ・ステート(影の政府)論者」の主張がすべて正しいと思っている訳ではありません。特に彼らは、トランプを悪の「ディープ・ステート」と戦う正義のヒーローと持ち上げますが、これは明らかな誤りです。

ヒーローなどどこにも存在していません。

グレーター・イスラエル計画

トランプ政権は、世界的な権力の頂点に位置しています。私はそれを「保守的なグループ」と呼んでいます。

そんな彼らが、コロナ後に強く推進して来そうなのが、「米中戦争」と「グレーター・イスラエル」なのです。米中戦争については、言わずもがなですね。私はそのことを2017年1月から散々書いてきました。

国際政治の本当を知っていれば、それは、2017年の時点で分かり切った話だったのです。

・4月の総選挙でネタニヤフ首相率いる右派「リクード」連合が勝利したイスラエルは、米トランプ政権の後押しを受け、「今ほど強い時はなかった」(アナリスト)と、この世の春を謳歌(おうか)しているかのように見える。しかし実際には、「中東和平」と「イランの核」という2つの問題で大きなジレンマを抱え、苦悩しているのが現実だ。

・さらにネタニヤフ首相の入植地併合方針は、入植地をなし崩し的にイスラエルの領土にしてしまうという意味であり、事実上「二国家共存」の否定に他ならない。行きつく先はすべての自治区をイスラエルに併合し、一つの国家「大イスラエル」の創設だろう。

2つのジレンマに悩む最強国家、イスラエルの意外な弱点 WEDGE Infinity

彼らがそれと同時に進めるのが、イスラエルを中心とした中東地域の併合で、その前哨として、UAEとイスラエルの国交正常化のニュースがありました。ただ、これは大した意味を持ちません。UAEは元々親米の国家もどきであり、何を今更という話でしかないからです。

「最強」イスラエルの死角

現在のトランプ政権は事実上、イスラエルの右派政権リクードの支配下にあり、彼らが創り出している「保守的なグループ」は、まさに世界最強の政治グループです。

トランプの当選と英国のEU脱退の国民投票、そしてヨーロッパ全域での極右の台頭には間違いなく共通点がある。 ナイジェル・ファラージ、マリーヌ・ルペン、オルバーン・ヴィクトルといった、極右のリーダーたちは、すぐにトランプの勝利を祝福し、彼を”仲間”と認識した。この展開には恐ろしいものがある。

『誰が世界を支配しているのか』 ノーム・チョムスキー

しかし、「最強」のはずの彼らの権力にも、最近は明らかな陰りが見えています。

ただし、イスラエルには安全保障上の懸念もある。その脅威は①イラン、②パレスチナ自治区ガザを拠点とするイスラム原理主義組織ハマス、③レバノンのイラン支援のシーア派武装組織ヒズボラ、からもたらされるものだ。

2つのジレンマに悩む最強国家、イスラエルの意外な弱点 WEDGE Infinity

その最大の理由の一つが、民の抵抗です。

・この地域を支配する米国とイスラエルの能力が制限されるからだ。たびたびこの二国が振るう暴力も制限される。これが「イランの脅威」といわれる考えの本質だ。
・米国とその同盟国は、何があってもまっとうな民主主義がアラブ世界に生まれることを阻止する考えだ。

『誰が世界を支配しているのか』 ノーム・チョムスキー

アラブ世界の真っ当な民主主義の台頭を米イスラエルは決して許さず、それが彼らがイランの脅威を声高に叫ぶ理由だと、ノーム・チョムスキー氏は明言します。

第三に、ネタニヤフ首相がトランプ米大統領の強力な支持を獲得したことだ。入植地政策などに批判的だった前任のオバマ大統領とは犬猿の仲だったことを考えると隔世の感がある。

2つのジレンマに悩む最強国家、イスラエルの意外な弱点 WEDGE Infinity

更に彼らは内部分裂が激しくなり、お互いに足を引っ張り合っています。

欧州委員会のピーター・スタノ報道官は、日次共同記者会見で、
 「イスラエルがヨルダン川西岸地区の土地を併合すれば、EUは制裁を発動する準備ができている」という一部ニュースについて発言した。
 スタノ報道官は、EUはイスラエルの併合計画に関してこれまで何度も発表を行ってきたと述べ、
 「EUは、併合は国際法に違反する行為であるとみなしており、併合が実際に行われれば、EUは必要な取り組みを行う準備ができている」と語った。

EU、イスラエルの併合計画に警告 TRT

最強の「保守的なグループ」の最大の政敵は、米民主党、EU、メディアです。今年の年末には、この戦争のもう一つのハイライトが見られるでしょう。それが、私がずっと書いて来た「合意なき離脱」です。

中東情勢の正しい見方

実際のところ、中東情勢は複雑怪奇、正しい見方が分からないと言う方は多いでしょう。しかし、前出のマサチューセッツ工科大学名誉教授のノーム・チョムスキー氏はこう語っています。

I wrote decades ago that those who call themselves “supporters of Israel” are in reality supporters of its moral degeneration and probable ultimate destruction.
 (私は数十年前に、「イスラエルの支持者」だと言う人々は、実際には道徳的堕落と究極​​の破壊の支持者であると書きました。)

ノーム・チョムスキー

イスラエルの支持者は道徳的堕落者だ!

日本には、イスラエルを公に批判するジャーナリストは、一人もいませんからね。日本に本物のジャーナリストは、ほとんど全く存在していないのです。

しかし、チョムスキー氏はこれ以上無い言葉で、中東情勢の正しい見方を私たちに示してくれたのではないでしょうか。

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