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タリーズでフラれた話

当日

2023年12月12日(火)、私は彼女に別れ話を切り出されました。場所はタリーズで、時刻は19時前後。仕事帰りに会う約束をしていたのでした。
思い返してみれば、店の前で彼女と顔を合わせた瞬間から、彼女のテンションは低く、元気がない様子でした。私は仕事で疲れているのかな、というくらいにしか思いませんでした。
席についてコーヒーを飲みながら話しましたが、彼女は言葉少なで、なんとなく間がもたない息苦しさを感じました。別に、いつも元気におしゃべりをしてないといないというわけでもないはずなのですが、彼女のテンションの低さと話の続かなさが、妙に焦燥感を煽り、「なんとかしなくては」という気分にさせられたのでしょう。私は自分でも見苦しいと思う程度には中身のない話を無理矢理したように思います。

そのような居心地の悪い時間を過ごしてから、彼女は「相談があって」と話し出しました。彼女の発したポツポツと迷うような覚束ない言葉たちをを要約すると「別れたい」という内容でした。
若干フェアではない気がしたので付け足すと、彼女は「別れたい」と口にしてはおらず、私が「つまり別れたいってこと?」と訊くと、彼女は頷いたのでした。
ほとんど同じことのように思いますが、私にとってはとても重要なことです。

その時の私の最善の行動が何だったのかは今なおわかりませんし、誰にもわからないだろうと思います。
急に落とし穴に落ちたような気持ちになって、「あれ?落ちてるな」と気づいてはいてもどこか他人事のように捉えていた私は、その時他人事のような視点で「どうあるべきか」を考えました。私がどうしたいかではなく……。

別れたいと思うなら、別れた方がいいよと私は言いました。あなたのことは好きだけど、一緒にいて苦痛を感じさせてまで一緒にいたいは思わないから。というような内容の話をし、私は別れることに同意しました。

彼女が別れたいと言った理由が一番気になるところだと思われますが、これについては私もどう記述していいものかわかりません。彼女が本当のことを言っているかわからないし、彼女もまた精神的に混乱し、自分の気持ちを正確にアウトプットできていたか定かでないからです。また、私もその時混乱し、きちんと彼女の気持ちを受け止められたか自信がありません。その上で整理すると次のようなことが理由とのことです。

・あなたの存在がプレッシャーに感じる。
・今は色んな人と出会って関わりを持ちたいので特定の彼氏と付き合うべきではないと感じる。

プレッシャーとは何なのか。色々な人と関わりたいとは何なのか。疑問がたくさんありますが、彼女に聞いてもはっきりとはわかりませんでした。
私が悪かったのか、彼女が悪かったのか、別れた原因がどうこうといったことを議論したくはないので詳しくは書きません。

それから2時間くらい話をしました。別れることが決まってから2時間も。
何となく彼女に話したくなかったことをたくさん話しました。フラれて気分がハイになり(わかりますか?ショックを受けた反動のような症状です。)、ベラベラと抑制の効かない状態で話しました。今思うと惨め極まりないといった様子です。
一種の「俺は平気」アピールのようなものだったのかもしれません。

別れ話をされても、平気で、明るくお別れできる男を演じていた気がします。
最後──その時を最後に彼女とは今の今まで一度も会っていません──も、車を停めた場所が違うのでそこでお別れというタイミングでも、私は「ああ、じゃあ」と軽く手を振って去りました。

お前がやっていることは間違っている。
そうやってカッコつけるからフラれたんじゃないか。
そうかもしれない。

しかし、カッコつける余裕、というよりも精神的なショックによる麻痺が続いたのは、その日の夜まででした。

つづく

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