M.I.T.日本文学部

M.I.T.日本文学部

最近の記事

【第一章のみ公開】リレー小説 愛と油

 5月6日(月祝)の第二十八回文学フリマ東京にて販売する、同人誌「猫背」第二号に掲載するリレー小説の第一章を公開します!ぜひ、読んでください!ブースはト-16です!                 一 「愛を確認しに相席屋に行こうぜ」ほろ酔いの井沢から飛び出た発言に俺は苦笑した。 「相席屋って……、あの相席屋?」唐突な提案に思わず無駄な質問をしてしまう。「そう、あの相席屋。発展場としての相席屋」井沢は発展場を誤用しているが、そこには触れずに会話を続けた。 「井沢、彼女いるだ

    • 【第一章のみ公開】リレー小説 おきあがってからのこと

       当サークルで作成している同人誌「猫背」第一号において掲載しているリレー小説の第一章を公開します!ぜひ、読んでください!                 一  僕の祖父、鈴原喜代太郎は、一九一八年の満州国で生まれた。今からちょうど百年前の話だ。とはいっても、彼が生まれた頃の満州は、愛新覚羅の馬賊達が支配する広大無辺な原野でしかなく、そこが「満州国」と呼ばれるようになったのは一九三二年、喜代太郎が十四歳になった春のことだった。喜代太郎は、満州国協和会で働いていた叔父の紹介

    【第一章のみ公開】リレー小説 愛と油