見出し画像

2024年6月12日 さよならを教えて〜おやすみフランソワーズ、そしてジェーン

お昼にSNSを開けて、すぐに目に入ったフランソワーズ・アルディの訃報。
高齢であること、闘病中であったことは知っていた。とても残念だ。
いや、闘病生活が長くなり、苦しく虚しい日々に疲れたアルディは、人が尊厳を持って最後を迎えるためには安楽死を法律で認める必要があることを、マクロン大統領に直訴していたんだ。
最後まで自分らしく生きる人だった。

願いは通じなかったけれど、やっと穏やかに眠ることができるようになった、アルディ。
訃報を聞いて、本当は少し安堵した。
もう苦しまなくていいね、おつかれさま。
ゆっくりおやすみなさい、フランソワーズ。

昨年ジェーン・バーキンが亡くなった。
いまだ人気が衰えないフレンチポップ・アイコンのふたりが、いなくなってしまったのだ。
アルディとバーキンの晩年の姿は、これから熟成していく年齢の私の憧れであり、お手本であった。

若い頃、短い間だけどフランスにいたことがあって、幾つになってもセクシーなフランスの紳士淑女を見ていた。

フランスは、年齢や人の目を気にせず好きなファッションを楽しみ、自分が一番セクシーだと思うスタイルを大切にする人が多いように感じた。
あくまで基準は自分。
また比較的他人が気にならない風土があるようだ。

アルディもバーキンも、歳を重ねてさらに瑞々しく美しかったのは、自分がいいと思うものを、ちゃんと大切にしていたからなんだと思う。
ファッションやスタイルだけではない、生き方も自分が基準である。

東北の震災時、世界中で日本が放射能汚染の風評被害に晒される中、海外から一番に慰問に訪れたのは、ジェーン・バーキンだった。
来日には高い壁があり、下手をすれば被災や風評被害で、フランスへの帰国が難しくなる状況であった。
大変な勇気が必要だったはず。
でもバーキンは、あの満面の笑みで来日したんだ。

どんなに無頓着で、ポジティブな性格であっても、どこまでも自分らしくいることは難しい。
勇気や強さがなくてはならない。
知性も必要になるだろう。
孤独の中で過ごすこともあるかもしれない。

”私のフランソワーズ
あなたの歌に 私は帰るのよ
さみしいときはいつも”

アルディの歌が、バーキンの笑顔が、これからも私の側にある。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?