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ドミンゲスの波乱万丈なBronx生活

皆さんは贔屓球団が不調なときにすることは何であろうか。
私はプロスペクトでポジることにしている。
そんなプロスペクトたちがMLBチームにコールアップされ即戦力として活躍しようものなら来季からの活躍にも大きく期待すること間違いなしだろう。
しかし、とあるNYYのトッププロスペクトは8試合の出場だけで今季はおろか来季のスタートも危ぶまれる事態になってしまった。
今回はそんな悲しきNYYのトッププロスペクト、
ジェーソン・ドミンゲスについてご紹介する。

1. ドミンゲスのプロフィール

名前: Jasson Domínguez
出身地: ドミニカ共和国バルベルデ州
生年月日:2003年2月7日(20歳)
身長:178cm 体重:86kg
利き腕:右投両打
守備位置:外野手
ニックネーム:The Martian(火星人)
6人兄妹の2人目で父親はヤンキースファン。
Jassonという名前はジアンビからとられた。
8歳で野球を始め、類稀なる才能を発揮したことで周りから“El Marciano”(スペイン語で火星人)と呼ばれ、マントルやボージャクソン、トラウトなどと比較された。かつては捕手を守っていたが、のちに今の本職である外野手に移っている。

2. 火星人がアメリカにやってきた

2019年7月2日、アマチュアFAでニューヨーク・ヤンキースと契約しプロ入りを果たす。
契約金は510万ドルでこれは球団最高額である。
しかし、2020年は皆さんご存知の通りコロナウイルスの影響でマイナーリーグの試合は全て中止された。ドミンゲスはこれを受けてサンディエゴのとある野球アカデミーで練習を重ねていたそう。
そして迎えた2021年。ドミンゲスは6月にROK級のフロリダ・コンプレックスリーグ・ヤンキースで遂にプロデビューを果たした。
2021 ROK Jasson Dominguez
7G AVG.200 OBP.407 SLG.200 0HR 1RBI
活躍が認められフューチャーズ・ゲームにも選出された。

フューチャーズ・ゲームでプレーするドミンゲス
この日の成績は3打数ノーヒット2三振であった

フューチャーズ・ゲームの後、ドミンゲスはA-級タンパに昇格。彼はそこで残りのシーズンを過ごした。
2021 A- Jasson Dominguez
49G AVG.258 OBP.346 SLG.398 5HR 18RBI

2022年は開幕をタンパで迎え、相変わらず安定した成績を残し、自身2回目のフューチャーズ・ゲームでは見事にHRを放って見せた。
2022 A- Jasson Dominguez
75G AVG.265 OBP.373 SLG.440 9HR 36RBI
フューチャーズ・ゲームの後、ドミンゲスはA+級ハドソンバレーに昇格した。
2022 A+ Jasson Dominguez
40G AVG.306 OBP.397 SLG.510 6HR 22RBI
シーズン最終盤でAA級サマーセットがPS出場を決めており、ドミンゲスの活躍もあってチームは彼を昇格させた。結局その後チームはイースタン・リーグ優勝を果たした。
2022 AA Jasson Dominguez
5G AVG.105 OBP.227 SLG.368 1HR 1RBI

3. 大躍進のスプリングトレーニング

2023年、NYYは招待選手の1人としてドミンゲスを選びスプリングトレーニングに参加することになった。そこで彼はメジャーリーガーをも抑える程の大活躍を見せる。
STの開幕戦、ドミンゲスは第2打席で見事にHRを放ったのだ。 打球速度109.7mph、飛距離は420ftであった。


その後も打ちに打ちまくったドミンゲス。
NYYファンに強烈なアピールをすることに成功したのだった。
2023 ST Jasson Dominguez
11G AVG.455 OBP.520 SLG1.045 4HR 9RBI
しかし開幕はAA級サマーセットで迎えることになった。チームが不調の中、同じトッププロスペクトのエバーソン・ペレイラがNYYにコールアップされたタイミングで、ドミンゲスも3A級スクラントンに昇格した。
2023 AA Jasson Dominguez
109G AVG.254 OBP.367 SLG.414 15HR 66RBI

4. 火星人の衝撃デビュー

3Aでも好調ぶりを発揮していたドミンゲス。
そして9月2日。ついにこの時が訪れる。

!!!!!!!!

ジェーソン・ドミンゲス、遂にNYYにコールアップされたのである。
NYYファンの大いなる期待を受けて挑んだ開幕戦。
スタメンにもしっかり“DOMINGUEZ”の文字が。

プロスペクトが5人も名を連ねるドリームオーダー

奇しくも舞台は宇宙産業都市であるヒューストン。先発投手は大レジェンドのジャスティン・バーランダー。ルメイユが先頭打者HRを放ち、ジャッジ
、ボルペが凡退。スタントンが四球で歩き、初回からドミンゲスに出番が回る。待ちに待ったメジャーデビューだ。
バーランダーの初球、76mphのカーブを見逃し、ストライク。
2球目だった。
94mphの速球を捉えた打球はレフトのアルバレス、そしてフェンスも越えていった。
ホームランだ。
メジャー初打席、初スイングでのホームラン。
しかもあのバーランダーから打ったのである。

ドミンゲスはデビュー戦でHRを放った選手のなかで球団最年少の選手になった。この時弱冠20歳であった。
結局この日の彼の成績は4打数1安打1打点1HR。チームの勝利に貢献した。
最高のデビュー戦を過ごしたドミンゲスだが、これで彼は止まらなかった。
2戦目にも1安打を放ち、3戦目は2号決勝2ランHRを打つ。
NYYは10年ぶりにHOUをスイープした。文字通り、彼は救世主だった。

5. 火星人、Bronxへ

場所をヤンキースタジアムに移しても彼はとどまることを知らない。

E.T.を彷彿とさせるロールコールへの返し

DETとのカード初戦では1安打、2戦目ではBronxでの初HRも飛び出した。
打球速度は110.2mphのライナー弾だった。

3戦目はノーヒットに倒れ、デビューからの連続試合安打記録は5で止まった。(球団最長は松井秀喜の7)
しかし、ドミンゲスが出場した試合でチームは6戦5勝。
これからもドミンゲスは最前線で活躍するだろうと誰もが思っていた。
そのはずだった。

6. 火星人だってケガをする

迎えたNL中地区首位MILとのシリーズ。
1戦目はドミンゲスが4号HRを放つも、チームは敗戦。
2戦目はドミンゲスが3三振と精彩を欠き、またしてもチームは敗戦。
そして迎えた3戦目。突如、ドミンゲスがスタメンから外されたのだ。
原因は右肩の炎症。嫌な予感がした。そして、、、
その嫌な予感は的中してしまったのだ。
検査の結果は”Torn UCL”.
靭 帯 断 裂 で あ る 。
大物ルーキーにもケガの恐ろしさが容赦なく牙をむいたのだ。
実はヒューストンですでに右肩の痛みがあったそうだが、故障してしまったらもう治すしかないのだ。
ドミンゲスは手術を決断し一刻も早く治すことにした。
復帰までには最悪8‐10ヶ月かかると言われている。
NYYファンの私としては彼の復帰を心から願っている。
彼はNYの希望なのだから。
2023 NYY Jasson Dominguez
8G AVG.258 OBP.303 SLG.677 4HR 7RBI
                                                                       
                                             2023/9/11
                                                                                                 眠井 文々


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