怪談最恐戦2022の全話所感~怪談最高!~

まずは最恐位決定戦、お疲れ様でした。
2022年、コロカスのパワーにも負けずに会場で観戦し投票してきました。コロカスははよしんでくれ。
今これを書いてる私はホテルでそこそこ酔っていてただでさえ低い言語化能力が地の底まで落ち文章がはちゃめちゃと化しているかもしれませんがまあ許してください。文章って衝動も大事だし。多分。

いまこれを書くに至っているのは、とにかく観戦直後の高揚感に突き動かされ、なんだかこの感動と恐怖と情動をメモしておかないといけない気がしているからです。

まずとにかく言いたいのは、怪談は素晴らしいということです。素晴らしいという言葉はあまりに陳腐ですが、わたしの足りない語彙では表現が及ばないのです。怪談に馴染みのない人からすれば、怪談といえば稲川淳二でしょう。レジェンドですね。お笑いにおけるダウンタウンみたいなもんですね。稲川淳二がなんか幽霊のことをこわく話している、そんな印象でしょう。
怪談にはしかし、紛れもないテクニックがあります。話術です。芸人が大声でボケればいいわけではなく、ラッパーが同じ字数の単語の母音をそろえればいいわけではなく、怪談師はただ「幽霊の出る怖い話」をすればいいわけではない。どう話を組み立てるか?どう意表を突くか?どうミスリードしどう落とすか?声量は?声色は?その景色をなんと形容し、その目を何に喩え、指をどう動かし、視線をどう誘導し、心に迫り、恐怖を見せるか。そしてそのテクニック以上に怪談に存在するのが、やはり「思想」です。その怪談にどんな念が込められていて、どんな文化・歴史的背景があり、その物語はなにを物語っているのか。
血まみれの女が現れるから「怪談」たりえるのではない。人間の本質的な恐怖と、その恐怖の根源にある「人たるゆえん」をどのようにかきたてるか。
そんな怪談の奥深い素晴らしさを感じる一夜でした。楽しかった。ありがとう!
怪談ひいてはオカルトは不況になると流行るなんて言いますが、オカルトブームの今はやはり不況だし社会不安も顕著なんでしょう。人は自分の存在が揺らいだときに超常的なものを見たくなるのかもしれませんね。それが良い存在であれ悪い存在であれ、「自分には理解できない何か」が存在しているというのは、希望ですらありますから。そこでは自分の幸も不幸もなんだか無に帰して全てがゆるく許されます。

で、そんなことを再認識した一夜でしたが、今年の最恐戦の所感をメモしておきます。
ちょびっと怪談がすきなだけの超超素人なのでやさしくみてください。(一部敬称略です)
また話の本筋に少し触れたりしています。

【1stステージ】
・制限時間5分

Aブロック:三平×2、伊山亮吉、Drマキダシ
Bブロック:いわおカイキスキー、山本洋介、ハニトラ梅木
Cブロック:うえまつそう、吉田猛々、毛利嵩志
Dブロック:宮代あきら、ごろー、酒番

・Aブロック

三平×2:
V系バンドのボーカルがライブ中にある一節を歌うと何かにあることを囁かれる話。
島田秀平『お怪談めぐり』で披露していたので既知の人も多いだろうけど、ネット上で公開されたそれよりカットされ5分の制限時間に合わせていたため不気味さが少し減ってしまっていたのがすこし残念。でもライブハウスは窓がなくよく出ると語られるように、人の念が密集し、それが窓もないため出ていかずに噎せ返るように溜まっていくさまは、ライブハウスに行く人には生々しくリアリティをもって伝わる。結局なんだか分からないのも良い。ファンの生き霊とかでもなさそうだし。

伊山亮吉:
北海道の炭鉱跡で何かに嚙みつかれる話。
目には見えないが「異形」であろうものによる「怪異」が最後まで意味が分からず理不尽で良い。その異形には異形なりの論理がありそうなのも良い。そして飛行機に乗ったら嚙みついていた異形が振り落とされて解放されるという生々しいリアリティが良い。
幽霊が駅の改札を通れないとか、他人の家に勝手に入れないとか、何かしらそういう凄く日常的なルールに縛られている話が好きなのでツボでした。

Drマキダシ:
以前Megす怪にて聞いたことがあったので展開は知ってしまっていたけど以前より語りがブラッシュアップされていたような印象。もっと詳細に聞きたかった。

私はAブロックでは伊山さんとマキダシさんで悩んで、「5分という縛りでどちらがよりスタイリッシュか」という商業的視点から伊山さんに投票しました。
このブロックで勝ち上がったのは伊山さんでした。

・Bブロック

いわおカイキスキー:
ある女性が夜道でゲロを吐くガリガリの男に魅入られる話。
いわおさんの得意技というか、小説のように叙情的で流れるような語り口と緩急を上手くつける擬音のテクニカルさが、まずは腕ならしというような肩の力の抜け方で、5分の短さで披露されていて感嘆。なにもトリガーは引いていないはずなのに突然襲い来る怪異の理不尽さ。私は好きです。常に怪異は意味が分からなくあってほしいから。

山本洋介:
遺体の顔写真を撮る写真屋さんの話。
立ちで怪談を披露しはじめ、「良かれと思って……って本当に良かれなんでしょうか?」とまくらの前口上から始めるあたりが、トリックスターというかなんというか。常に我がある語りをされるのが、飄々とした語り口に反して気骨があり非常にかっこいい。5分の使い方もうまく、幽霊は出てこないし心霊ではないかもしれないが明らかに「怪談」であると観客に思わせる話。どこまでも不気味。後味わり~

ハニトラ梅木:
事故物件…………?に住んだ夫婦が殺し合っちゃうかもしれない話。
近年の事故物件ブームもあいまり事故物件話は多いですが、さらに共に語られることが増えたように思うのが「果たして念や記憶は建物に宿るのか?土地(空間)そのものに宿るのか?」という問題。この問題に絡めた事故物件(仮)怪談は最近かなり増えたような体感がありますが、今回はその正統派ともいえる話。梅木さんの1stステージ、という意味では非常にストレートなネタ選びでした。話自体はこの題材の話としては非常に典型的であるものの、だからこそ提示されるストレートな恐怖がこわく、テクニックを披露するにも良い題材だったと思います。ほんでこれもオチの言葉がよく考えたら後味わり~のよ

私はBブロックでは山本さんに投票しました。
結果、いわおさんと山本さんが同票により「100秒怪談」で雌雄を決することに。
(100秒怪談のルールは、1秒でも過ぎたら反則負け。それだけ。テーマは無し。)

いわおさんが語ったのは「通学路の帰り道で睨みつける遺影を見つける話」で、90秒弱ほど。山本さんが語ったのは「職場の女の子が誰かに首をしめられる話」で、60秒弱ほど。私は世にも奇妙な物語のショートストーリーのような「転」しかない話が好きなのでオチのスピーディーさも含め山本さんに投票しましたが、結果はいわおさんが勝ち進みました。100秒怪談という縛りではよりいわおさんのほうがベターであったのかもしれません。


・Cブロック

うえまつそう:
サッカー部の顧問が部室でやばいもんに遭遇する話。
非常に正統派の怪談で、だからこそ1stステージに選んだのかもしれない。現役教師だからこそより語りにリアリティが増し、さらに怪談歴を考えれば本当にここまで語りが飛躍的に伸びていて凄すぎる。
個人的には正統派幽霊にあまり萌えがないため票は入れませんでしたが、しかしこういういつの時代にも通じる正統派怪談は語られ続けていてほしいです。

吉田猛々:
家系図を作る仕事のひとがある夫婦の家系図をつくるが……?な話。
ナナフシギとしてはノヴさんのほうが注目されがちですが、「霊感がないからこそいただいた話を忠実に語る」というスタンスの吉田さんだからこそ浮き彫りにできる素朴で生々しいリアリティがあると思います。また家系図にまつわる話ということで、縦横の法則というその職業ならではの視点があったり、因果を感じさせたり、非常に文化的で面白い。わたしは民俗学的観点からみる怪談とその職業ならではの怪談が好きなので、今回はそれらがミックスされていてかなりオトクでした。

毛利嵩志:
寺男を勤める男性と、坊主に魅入られたかもしれない少女の話。
毛利さんから音響ノイズやばかったです。カオスさんが霊障だ(笑)ってはしゃいでたけど、怪談会におけるノイズはご褒美でしかないからね。賞レースではちょっと困るけど。
話としては、これもやはり血筋を感じさせる因果めいたもの。コトの始まりに何があったかは分からないけど、突然始まる「理不尽」に何世代にも渡って苦しめられる話はJホラーのお家芸で良い。また、対象がお坊さんということもあり、「果たして信じるものは聖なるものか?」という気持ち悪さもあり良い。これもやはりアジア土着ホラーなんかに顕著な、良い傾向なんですよね にっこり

私はCブロックでは吉田さんに投票。勝ち進んだのは毛利さんでした。

https://twitter.com/bunbun9922S/status/1589221214278815744?t=RjOcQG5JhMYarWX9YSMWBQ&s=19

・Dブロック

宮代あきら:
水道検針の作業員が、変な業務メモのある家に行き、なにかに出くわす話。
キモい!!!意味わからん!!!職業ならでは怪談!!!好き!!!1stステージのなかでいちばん好みの怪談でした。
水道検針という、他人の家に行かなければならない仕事。そして水という生存に必要なものをチェックしなければならない。「無条件に他人のテリトリーに入る必要がある」、その時点で物語のトリガーは常に引かれていて、ふとした瞬間に怪異が顔を覗かせてくる。曰くなしの家というのも良い。こういう話あと100回聞きたい。

ごろー:
事故物件の話。のはずなのだが……?
先述したように最近は事故物件話が非常に多いですが、その中でこれは「女性が殺された部屋で、その女性が殺された姿のまま現れる」という正統派事故物件怪談と思わせておいて途中からの変化球が凄い。当事者視点ではなくそれを俯瞰的に分析する立場での語り(大島てるさんとか黒子さんがそういう感じですね)。
404号室で事件が起きたはずが、403号室で事件が起きたとインターネット上で書き換えられたことにより、404から403に幽霊がトレースされてしまうという怪異。増殖する恐怖。私は意味わからん怪異が好きで、怪異自体に理屈があるのはあまり萌えないのですが(これこれこういう理由で自殺した人がこういうために化けて出てる~と解説されちゃうと萌えが薄らいじゃうのです)、怪異に対して俯瞰的に理屈をつけるのは非常に好きです。人々の意識が変わることにより幽霊はトレースされて移動するという理屈、かっけえな~~好きや

酒番:
事故物件ではないがそこに変なものがあるんよ話
や~~事故物件盛り上がってますね!!!正確には事故物件じゃないけどさ!
ふたつの部屋をひとつにした部屋で、片方の玄関は箪笥で塞がれていて、その箪笥をどけたらその後天的に出来上がってしまったいわば小さな開かずの間から遺髪が出てくるという、しめった気持ち悪さ。呪物!呪物も盛り上がってますね~!

個人的にDブロックがいちばん悩みました。どれも意味わからんキモさがあって好み。悩んだ末に、より嫌だった宮代さんに投票。
勝ち進んだのは宮代さんでした。

【2nd state】
・制限時間7分
・テーマ「におい」(腐乱臭や死臭など遺体の臭いを思わせるものは除く)

・前半戦
Aブロック伊山亮吉vsBブロックいわおカイキスキー

伊山亮吉:
大学進学で一人暮らしをする女性は、上の階に住むおばあさんに優しくしてもらうが……な話。
今回のにおいは「おばあさんから貰った食べ物は味が美味しいのに匂いがない」という点。他3人はある強烈な匂いをテーマにしているのに対し、伊山さんはあえて「匂いがない」をテーマにしている。ゆえにそのテーマが強く印象に残ることはないが、物語のなかでテーマだけがいやらしく浮かび上がることがなく非常になじんでいる。また伊山さんらしい語り口でありながら、1st state以上に語りに気迫を感じ始めました。2nd stateでこの平坦な話をするというのはなかなか勇気のいる選択。普通ならやはり強烈な話をしたくなるもの。伊山さんは年齢が若いながら怪談歴は年期が入っているので、まさにベテランな選択にベテランな語り口でかっこよかった。

いわおカイキスキー:
魚介類が苦手な一家が、あることをきっかけに魚介類を食べるようになる話。
これは幽霊というよりかなりクリーチャーな印象で、造形ギレルモ・デル・トロで観てみたい逸作。
今回のにおいは「山のにおいvs海のにおい」。強烈な磯のにおいが不快感を催す形で表現され、4人のなかでもっともテーマのにおいを分かりやすく提示していました。いわおさんの叙情的語り口がこれでもかと展開され、目を閉じれば生々しくもうつくしく不気味にその光景が広がります。山のにおいの青々とした爽やかな生命の気配と、対照的に湿り絡まり澱むぬるくて生々しくて逃げられない海の生命の気配。より映画的でより不気味。すばらしい。まじでギレルモ・デル・トロに実写化してほしい。いわゆる幽霊譚とは言いがたいものの、紛れもなく怪談です。

私はよりキモかったいわおさんに投票。提示される魚介類の代表が牡蠣と海藻なのもキモい。なにか人間の内臓と髪を連想させながらも、魚やふつうの貝よりもなんだかエイリアン的な存在。しばらく牡蠣食いたくね~。
勝ち進んだのは伊山さんでした。テーマの落とし込み方が正反対なだけに、かなり各々の好みで結果が分かれそうな印象でしたね。


・後半戦
Cブロック毛利嵩志vsDブロック宮代あきら

毛利嵩志:
ある男性は幼少期に祖父と墓参りをし、ひとつの横たわった小さな「首つりもん」の墓石に尿をひっかけろと祖父にいわれる話。
今回のにおいは「祖父と自分のおしっこの匂い」。
これも幽霊は出てこず、全て思い過ごしだと言われてしまえばおしまいの話でありながら、血まみれの幽霊が出てくるよりも強い恐怖をかき立てられるある意味因果めいた話でした。優しい祖父が墓石に尿をひっかけるのも人怖的な恐怖があるし、自分も尿をかけさせられたことによりその強い呪詛のようなものに片足を踏み入れているような不安感がある。物語はまだ終わっておらず、すべては謎のままだし、自分の身になにかが起きてしまうかもしれない。自分の出自すら疑いたくなるような恐ろしい幼少期の記憶の断片。ミニマルながらも洗練されたきれいなお話でした。

宮代あきら:
誰の物か分からない忘れ物の財布の中には、大金と梵字かハングルが書かれた紙と金箔をはられた乳歯が入っていた話。
今回のにおいは「乳歯のドブ川のような匂い」。結局のところ何が起きたのかはわからない。むしろここから先に長い長い本編が展開されるのではないか?私たちは物語の始まりにだけ触れたのではないか?これから先にどれだけ邪悪なことが起きてしまったのか?というモヤモヤした後味が居心地悪かった。(これは怪談なので非常に褒め言葉です)呪詛の始まりに指先が触れてしまったような気持ち悪さ。1stのときの水道検針の話といい、何かそこにある邪悪な物語の断片にだけ触れてしまったような曖昧な感じが非常に好みです。素晴らしく不完全燃焼。こういうの好きよ。

私は好みで宮代さんに投票しましたが、勝ち進んだのは毛利さん。
匂いという観点では毛利さんのほうがよりナチュラルにテーマを落とし込んでいた印象で、宮代さんの話はその匂いが必ずしもキーポイントとは言い切れないあたりが、毛利さんに軍配の上がる決め手となったのかもしれません。

【3rd state】
・アルティメット怪談。時間制限なし。(30分は越えないほうが望ましい)
・唯一の条件は、聞く人に怪談だと思わせること。

最終決戦は伊山さんと毛利さんの戦い。

伊山亮吉:
ひとりかくれんぼをした竹田の話。
伊山さんの十八番のひとつ!自身のチャンネルも含め要所要所で語られてきたこの話をファイナルに持ってくることの覚悟と熱意。この大会を観ているような人ならば聞いたことある人も多いはずで、もはやバレてしまっているこの話で恐怖を与えるのは非常に難しい。話自体も「ひとりかくれんぼをしたら怪異が起きた」という非常にシンプルなもので、起きる怪異もベタなもの。この厳しい条件のなかでただただ話術だけで恐怖を与えなければならない。それを分かった上でファイナルにこれを持ってくるなんて、なんたる覚悟。なんたる熱意。
そしてその出来は想像以上で、伊山さんらしい優しく淡々とした語りのスタイルを崩さないまま、怪談にかけてきた熱意がもはや狂気の域に達しているような鬼気迫る語り。今まで何度も聞いてきたこの話ながら、聞いているうちに鳥肌が立ち、ぐわぐわと不安で足元が揺らぐような恐怖感が忍び寄ってくる。鬼気迫るながらも緩急は忘れず、急いて空回るわけでもなく、とにかく語りのレベルアップが著しすぎる。すごい。
私はこの語りを聞いて、そこに込められた怪談への覚悟を感じて、そしてその土台にある愛を感じて、なんかちょっと泣いてしまいました。オタクはすぐ情緒がめちゃめちゃになる。

毛利嵩志:
親友と親友の一族はある女の呪いによって死んだのか?という話。
時間制限なしアルティメット怪談に相応しい、長尺で非常にカロリーの高い濃密な怪談。本人が「生半可な場所では語れないから寝かせていた」と言ったように、時間についは勿論だけどその話の重たさは確かにめったな場所では語れず、これはファイナルに相応しい話だった。
ある女の子には障害を持つ親友がいて、その親友と親友の一族は死んでしまった。それは呪いによるものなのか?……というあらすじにしてしまえば簡素な話ではあるけれど、そのディティールの緻密さとなによりそこに込められた人の思念情念の強さが非常に高い密度で圧縮されて、聞き終わったあとには実際の尺以上の壮大な話を聞いてしまったような虚脱感すら感じてしまう。

私は何度も繰り返したようにわけのわからない怪異が好きで、歴史を手繰るような長い話はそもそもあまり好みません。洒落怖とかでもリゾートバイトとかより巨頭オのほうが圧倒的に好き。
しかもこの話はなんとなく呪いの根源(曾祖父の愛人が恨みから祟ったっぽい)も分かるし、私が好きな怪談の要素はなにひとつなく正反対なんですよね。

でもわたしは毛利さんに票を入れました。それはたぶん、いちばん初めに言ったように、ただ怖いだけじゃない怪談の奥深い素晴らしさを再認識させられたから。そこにある人間の思念。呪い、恨み、愛、幸福、妬み、嫉み、蔑み、羨望、独占欲、庇護欲、あらゆる人間らしい営みがそこにあるからこそ怪談は在り、人はそれに惹かれ、惹かれて愛に基づいて語るからこそ怪談は生きてくる。
毛利さんの話を聞き終わったあとに感じた虚脱感は非常に心地よく、自分の精神力を根こそぎもっていかれるほどそれにのめり込んでしまいました。人間らしい、人間たるゆえんの怪談でした。一筋縄ではいかない、一言では言い表せない、果てしない何かがそこに蠢いている根源的恐怖。私が意味がわからん化け物や怪異が好きなのとおそらく根は同じもの。とにかく理解の及ばない、だけどなにか分かりそうで触れていたくなる、この話に感じた執着は私が怪談そのものに感じる執着と同じ。


とにかく素晴らしい怪談会でした!!

優勝は伊山さん。これに文句のつけようはないでしょう。
審査員評論にあったように、伊山さんのこの話はさらにレベルアップできるから期待を込めてずっとずっと聞いていたい。おじいちゃんになっても語ってほしい。

予選から参加した参加者全員に果てしない尊敬の念を送ります。ありがとう、2022年楽しかったです。
来年も楽しみ!!!です!!!

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